

先週の相場をとりわけ厳しいものにしたひとつの理由は銀行への公的資金注入のイニシアチブが折り悪く空売り規制解除とほぼ同じタイミングで喧伝されたことにあると思います。
銀行への公的資金注入そのものが投資家のパニックを鎮め、銀行経営の安定化を図る心算で考案されていることはまちがいありません。
しかし公的資金の注入は「どの水準で実行されるべきか?」という問題を孕んでいます。
空売り筋はこのニュースをみて「そうか、じゃあ銀行株や証券株は下がるんだな」という風に理解し、モルガン・スタンレー(MS)などに安心してショートを振りました。
また、不良債権を買い上げるリバース・オークションが「後回しにされる」という懸念から、「それじゃ、今、投げ出せるものは何でも処分しよう!」という結論になり、プロクター&ギャンブル(PG)やマクドナルド(MCD)など、およそサブプライム問題からいちばん遠いところにある株もバンバン売られてしまったのです。
本当は政府がリバース・オークションを後回しにしているという事はありません。ただリバース・オークションを始めるための準備には数週間かかってしまうのです。
そこへゆくと政府が窮地に陥った銀行の割り当て増資に応ずるのは2日もあれば出来てしまいます。
この事務手続き上の時間差が「命取り」になって傷口を広げてしまった気がします。
PS:なお日本の証券関係者は「公的資金の注入は政治的なハードルが高いから実現は難しい」と見ている方が多いですが、これは間違っています。先日成立した金融安定化法に政府が銀行の株式を取得できることは既に盛り込まれています。また、英国が870億ドルを投じて銀行の株式を直接取得すると既に発表したこともあり、「先例」が出来たわけです。このことからも有権者からの反対は無いと思います。