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2009年3月5日木曜日

ウクライナの国営天然ガス会社、ナフトガスが占拠された


ウクライナの国営天然ガス会社、ナフトガスがユーシェンコ大統領の指示で保安警備隊によって占拠されました。
今回の「強制捜査」の目的はナフトガスがロシアのガスプロムと結んだガス供給契約の原本を押収することです。
ナフトガスとガスプロムの契約は今フランスに公務で出張しているティモシェンコ首相の立会で締結されたものです。ティモシェンコ首相はユーシェンコ大統領の政敵です。
ティモシェンコ首相は親ロシア派です。今年ウクライナは選挙があるので政敵を蹴落とすためにユーシェンコ大統領が今回の襲撃を仕掛けたのではないか?という見方もあります。
ティモシェンコ首相はフランスから「これはユーシェンコ大統領がウクライナ国民を脅かす目的で仕掛けたものだ」という声明を出しています。またガスプロムは「今回の事態を憂慮している」と発表しています。
なお、ガスプロムがナフトガスに対して供給した天然ガスの支払期限(何回かの分割払いのうちの一回)は今週の土曜日に迫っていますが、ウクライナは折からの経済危機で「支払は無理だろう」というのが金融筋の見方です。
ウクライナは人口の78%がウクライナ人、17%がロシア人です。ロシアとは長く、複雑な歴史があり、ロシアに対する国民感情も複雑です。
追記:
ナフトガスからガスプロムへの2月分の支払は今日、ちゃんと履行されたようです。

2009年1月9日金曜日

ウクライナ経済



どうやらガスプロムはウクライナに対する天然ガスの供給を再開するようです。これは良いニュースで僕もほっとしています。

しかしウクライナの経済が依然、とても苦しい状況に置かれていることは変わりません。先ずウクライナという国ですが今回の金融危機が世界に伝播する過程で、アイスランドとともに真っ先におかしくなった国であり、10月以降IMFからの緊急融資で食いつないでいます。

IMFは融資の条件として2009年は均衡財政を達成することを要求しています。しかし既に2009年の財政赤字はGDPの3%程度になるだろうと言われています。また、ここ数年ウクライナ経済はGDP成長率で7%近く数字を達成できていたのですが、これはウクライナの国民が外貨建ての銀行借り入れをどんどん増やしたことで住宅建設ブームなどのバブルがおきたことによるところが大きいです。

世界的な信用緊縮の中で外国金融機関がウクライナの民間セクターへの融資をストップしたため、世銀は今年のウクライナのGDPは▼4%になると予想しています。これを受けてウクライナのデフォルト・スワップの価格(=債務不履行が起こる可能性を示す指標です)は9月以降だけで5倍も暴騰しました。経済がボロボロになったアイスランドよりウクライナのデフォルト・スワップ価格は高く、世界でアルゼンチンに次いで第二位のリスクの高さを示しています。

ウクライナをはじめとする旧ソ連邦諸国は90年代初頭にソ連が崩壊するまではロシア国内と同様、国際実勢価格に比べて極めて廉価な天然ガスの供給を受けてきました。実際、ウクライナの国民が使用する天然ガス価格は西欧諸国の消費者の支払っている金額の10%から40%に過ぎません。比較的廉価な天然ガス価格は浪費につながっていることはかねてから指摘されてきました。

ここ数年、ロシアはそれらの周辺諸国に対して「もうソ連ではないのだから今後は徐々に国際実勢価格に近づける」と通告し、段階的に値上げしてきました。このためそれらの国々は年を追う毎にエネルギー価格の支払いに苦しむようになっているのです。

若しこのところ年々70%ものスピードで借入残高を増やしてきたウクライナの消費者が西側金融機関に借りている債務を返せなくなった場合、ウクライナの危機が欧州の金融機関にも飛び火する可能性があります。このようにウクライナは現在の世界各国経済の中でもとりわけ脆い状態になっているのです。