どうやらガスプロムはウクライナに対する天然ガスの供給を再開するようです。これは良いニュースで僕もほっとしています。
しかしウクライナの経済が依然、とても苦しい状況に置かれていることは変わりません。先ずウクライナという国ですが今回の金融危機が世界に伝播する過程で、アイスランドとともに真っ先におかしくなった国であり、10月以降IMFからの緊急融資で食いつないでいます。
IMFは融資の条件として2009年は均衡財政を達成することを要求しています。しかし既に2009年の財政赤字はGDPの3%程度になるだろうと言われています。また、ここ数年ウクライナ経済はGDP成長率で7%近く数字を達成できていたのですが、これはウクライナの国民が外貨建ての銀行借り入れをどんどん増やしたことで住宅建設ブームなどのバブルがおきたことによるところが大きいです。
世界的な信用緊縮の中で外国金融機関がウクライナの民間セクターへの融資をストップしたため、世銀は今年のウクライナのGDPは▼4%になると予想しています。これを受けてウクライナのデフォルト・スワップの価格(=債務不履行が起こる可能性を示す指標です)は9月以降だけで5倍も暴騰しました。経済がボロボロになったアイスランドよりウクライナのデフォルト・スワップ価格は高く、世界でアルゼンチンに次いで第二位のリスクの高さを示しています。
ウクライナをはじめとする旧ソ連邦諸国は90年代初頭にソ連が崩壊するまではロシア国内と同様、国際実勢価格に比べて極めて廉価な天然ガスの供給を受けてきました。実際、ウクライナの国民が使用する天然ガス価格は西欧諸国の消費者の支払っている金額の10%から40%に過ぎません。比較的廉価な天然ガス価格は浪費につながっていることはかねてから指摘されてきました。
ここ数年、ロシアはそれらの周辺諸国に対して「もうソ連ではないのだから今後は徐々に国際実勢価格に近づける」と通告し、段階的に値上げしてきました。このためそれらの国々は年を追う毎にエネルギー価格の支払いに苦しむようになっているのです。
若しこのところ年々70%ものスピードで借入残高を増やしてきたウクライナの消費者が西側金融機関に借りている債務を返せなくなった場合、ウクライナの危機が欧州の金融機関にも飛び火する可能性があります。このようにウクライナは現在の世界各国経済の中でもとりわけ脆い状態になっているのです。
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