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2009年9月9日水曜日

電光石火の勢いで立て続けにディールを発表するバリック・ゴールド

けさシルバー・ウィートンとのディールを発表したばかりのバリック・ゴールドが引け後にまた大きなディールを発表しました。

今度は30億ドルの公募増資です。ディールは例によってボート・ディールと呼ばれる大口ブロック・トレードで引受幹事はRBC、モルガン・スタンレー、JPモルガン、スコシア・キャピタルです。

はめ込み価格は$36.95、つまりNYの引け値から6%低いところです。

この公募で得たキャッシュを使い、同社は残っていたゴールドのヘッジを全部取り除くと発表しています。

けさ発表されたシルバー・ウィートンとのディールで実質的にシルバーへのエクスポージャーを減らしたわけですから、そこで得たお金と、引け後に発表された公募を合わせて全力でゴールドにロングしている構図が浮かび上がってきます。 (具体的にはヘッジ解消に伴う実現損を今日の2つのディールで調達したキャッシュと相殺するという操作になります。)

ピーター・モンクは業界の重鎮であり、教皇のような存在。そのバリック・ゴールドがゴールドの重要なチャート・ポイントで一気に勝負に出ている、、、これは明日、世界のゴールド関係者に絶対注目されるニュースです。

おやっ?と思わせたバリック・ゴールドの銀の売りつなぎ

今日、ちょっとおやっ?と思わせるディールがありました。

それは世界最大の金鉱株であるバリック・ゴールドが実質的にシルバーを「売りつなぎ」したからです。

具体的にはバリック・ゴールドがアルゼンチンとチリの国境線に所有しているパスカラマ銀山の将来の生産をシルバー・ウィートン(SLW)という小さい企業に6.25億ドルで売り渡したのです。

このディールでは先ずバリックが2.12億ドルをキャッシュでシルバー・ウィートンから受け取ります。そして残りは向こう3年に渡って分割払いで支払われます。

さて、パスカラマ銀山の生産は2014年から開始されるというスケジュールになっていますから、現在、この資産はキャッシュフローを生み出していません。

それではシルバー・ウィートンはどうやって初回頭金である2.12億ドルをねん出したのでしょうか?

それは「ボート・ディール」と呼ばれるブロック・トレードで2.5億ドルの新株を発行することで賄われました。

つまりうがった見方をすれば、シルバー・ウィートンは株主から「前借り」してこの費用を支払ったことになるのです。

バリック・ゴールドの創業者はピーター・モンクという人ですが、この人はソロバンがメチャクチャ上手い人です。1980年代にゴールドの価格がどんどん下がっているときにゴールド・セールでどんどん「前借り」して、そのキャッシュでバリックを大きくしました。

そういう老獪な男が売りに回ったというのは気をつけておくべき事だと感じました。