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2009年11月24日火曜日

2009年11月18日水曜日

イエメン情勢にチラつくイランの影



いつもながらレバ・バハーラの解説は明瞭かつ洞察に富んでいます。

2009年9月28日月曜日

急に緊張が高まっているイラン情勢

イランを巡って緊張が高まっています。

先週、ピッツバーグでG20があったわけですが、その場で米、英、仏の各国が「イランはこれまでに公表されていないウラン濃縮施設を持っている」と強くイランを非難しました。

アメリカは経済制裁を当面の武器にしようとしていますが、この経済封鎖は中国やロシアが引き続きイランとビジネスしているので効果がありません。

ロシアは今回の一連のミーティングでチョッとだけアメリカ寄りに態度を変更したようにも見えますが、はっきりしたことはわかりません。

最悪の場合はこの核施設を攻撃するという選択肢もあります。

先週のこの事態の進展を受けてイランの革命親衛隊はこの週末、近距離ミサイルの発射テストをし、示威行動に出ました。

ストラトフォアのジョージ・フリードマンは先週、ブルームバーグのマーガレット・ブレナンのインタビューに答えて「イランは若し核施設を攻撃されたらホルムズ海峡を封鎖するだろう」と発言しています。

2009年6月25日木曜日

イラン情勢に関するNPRのインタビュー

NPRのテリー・グロスがカーネギー基金のカリム・サジャプルにインタビュー

【以下はハイライト】

イランは一枚岩ではない。

革命防衛隊は12万人居るのだが、上層部は兎も角、下級兵士はいろいろな出身の人から構成されている。 ハメネイ最高指導者とアフマディネジャド大統領は今日のイランのごく一部の考え方、狭い党派しか代表していない。 不満はここ2~3年で高まったのではなく、過去30年、燻り続けてきた。だから根が深い。

デモをしているのは単に裕福な中流層だけではない。例えばサウス・テヘランは労働者階級の町であり、そこがデモの最多発生地であるということは今回の騒動が労働者階級をも巻き込んでいることは明白だ。

オバマのカイロでの演説だけが原因というわけではないが、やはりオバマのメッセージは大きなインパクトを与えた。それがイラン内部での亀裂を顕在化させる直接の原因になった。

アメリカはその歴史的経緯から軽率に動くと誤解を招く。でも世界の他の国はもっとイランに働きかけることができる。その意味ではトルコが今回の選挙をすぐ支持したのは残念だった。日本はもっと積極的な役割を果たして良い。

女性がデモ行進しているのはとても象徴的だ。イランの女性はよく勉強し、向学心も強いのに、いちばん虐げられてきた

イラン人がドバイの隆盛を見ると「なんで昔の漁村がこんなに栄え、その一方でわがイランはダメになってしまったのか」と嘆く。海外事情に疎いアヤトラ・ハメネイ最高指導者にドバイを見てほしい。

ムサビ(敗れた大統領候補)は80年代に首相を務め、ホメイニ師と近かった。しかし首相の任期が終わったあと、20年間、政治の世界からリタイアしていた。彼は選挙の直前まではカリスマに欠けた候補だった。例えて言えばジョン・ケリーみたいな存在だ。しかしひとたび選挙に負けて、デモ行進が始まったらムサビが突然勇猛になった。彼は殉教しても良いという腹が据わったとも言える。

若しムサビが勝っていたら、イランは余り変わらなかったかも知れない。なぜならムサビはそれほど心からの改革派でもないからだ。

ところがデモが起こり始めてから、イランの庶民は単なるリーダーのすげ替えではなく、政治システムそのものの変革を求めていることが明らかになった

時間が経てばたつほど政府への信認は低下すると思われる。

ラフサンジャニはハメネイを最高指導者に仕立てたのに、なぜ今は袂を分かつているのか?

それはシェイクスピア劇の世界だからだ。1960年頃からホメイニの弟子として2人は競争的立場にあった。ハフィントン・ポストにホメイニ師の死に接して、次の最高指導者を誰にするかの人選をしているビデオが出ている。それを見るとラフサンジャニがキングメーカーであったことは明白だ。ホメイニ師を最後に看取ったのはラフサンジャニであり、ホメイニ師はハメネイを最高指導者にせよという遺言をラフサンジャニに残した。

ラフサンジャニはハメネイを推すことで影の力を付けられると思った。だがハメネイの時代認識の時計は1970年代で止まってしまっている。世の中が変わったということがハメネイにはわからない。ラフサンジャニはその点、ずっと進歩的である。ハメネイの率いる保守派は79年の精神をそのまま保存しようと考えている。

今ではハメネイ家とラフサンジャニ家は「ゴッドファーザー」のように反目しあうファミリーとなっている。ラフサンジャニのファミリーは実業界のあらゆるところに巣作っており、すごく腐敗している。だからラフサンジャニ家は進歩的で、世界とのビジネスをしたがっているのだ。

ブッシュ政権の下では今回のイランの事件はぜったい起こらなかっただろう。なぜならイランの人はアメリカから常に脅威に晒されていると感じており、そのプレッシャーが国をひとつにしてきたからだ。

ネダのオンライン追悼集会が金曜日に持たれる

2009年6月22日月曜日

市民の戦いから「頂上でのお家騒動」へと変質するツイッター革命

イランの「ツイッター革命」が新しい局面を迎えています。それはラフサンジャニ前大統領の家族が(一時的にせよ)バシジ兵に拘束されたからです。LAの親戚などの話からいまのイランの状況をまとめてみました。

今回の騒動はイランの大統領選挙の開票作業にごまかしがあったのではないか?という疑惑がもともとの発端です。

でもイランの大統領はアメリカの大統領などと違って権限は限られています。本当に権力を持っているのは最高指導者です。

だから今回の選挙のアフマディネジャド候補、ムサビ候補とも、事前にハメネイ最高指導者によってスクリーニングされた候補でした。その意味では誰が当選しても良かったのです。

ところが選挙が公平でなかったということで改革派が騒ぎ出したので、最高指導者としては身辺が慌ただしくなりました。

ハメネイ最高指導者は選挙の結果を肯定することでアフマディネジャドを支持する立場を打ち出しています。これは最も自然な対応です。

しかしアフマディネジャドのクレディビリティー(信用)が失墜した場合、ハメネイ最高指導者の威信も急落する危険性が高まります。

もともとハメネイ最高指導者は聖職者の間では「リーダーとしての修業を極めていない」として反発も多く、不安定な支持基盤しかありませんでした。それで革命防衛隊などの出身者を重用することで影響力を補いました。

アフマディネジャドは聖職界とは余りつながりの無い人なのでやはりハメネイ最高指導者同様、革命防衛隊とのつながりを強化することでサバイバルを図りました。

これに対してムサビ候補はアヤトラ・ホメイニ師にとても近かったのでハメネイ最高指導者を快く思わない聖職者には自ずと共感者が多いです。

ムサビ候補は昔、首相を務めたわけですが、ヒズボラに代表されるイランの中東における影響力の伸長のためのいろいろな画策をした人で、必ずしも真の意味での改革派ではありません。ただ時代の流れがより大衆の民意に基づいた政治や社会の構築を必要としており、ひろく産業を興し、雇用機会を創出するには世界と上手く付き合っていかないとバラマキ政策だけでは駄目だと感じ始めていました。

大統領選挙後、いざデモがおきてみるとちょうどロシアでクーデターがおきたとき、ボリス・エリツィンが戦車の上によじ登って演説したように、どんどんちからが湧いてきて「怖いものなし」の人間に豹変したわけです。

ラフサンジャニ前大統領は経験の面、ホメイニ師の愛弟子だったという威光の面、イランの将来をどうすべきかというビジョンの面でやはり抜きんでた人物です。

これらを整理するとイランの改革派のデモは「どうしてもムサビじゃないといけない」というよりは「今の体制そのものに問題がある」という問題提起の色彩が強く、政教分離が出来ていないイランの支配システムの上層部では既存の秩序が崩れることを恐れている、、、そういう構図が浮かび上がってきます。

ここで大事なのは革命防衛隊の存在であり、既存勢力が自分の立場を守ろうとすると軍政に移行するという危険性もあるのです。

2009年6月13日土曜日

世界にとってイランが重要な理由








イランの大統領選の結果がもうじきわかるはずです。
若し改革派のミル・ホセイン・ムサビ元首相が勝ったら、西側諸国のイランに対する態度は軟化すると思います。
イランは大統領が一番偉いのではなく、イスラムの最高指導者が最も権力をもっています。現在の最高指導者はアリー・ハメネイです。
今回の選挙はアフマディネジャド現大統領が勝っても、ムサビ元首相が勝っても、どちらも既にハメネイ最高指導者からお墨付きをもらった候補ですから、その意味では「大勢に影響なし」なのです。
ただムサビ元首相が勝った場合、「イランの国民はアメリカをはじめとする外国との対話をもっと進めるべきだと国民は感じているんだな」というシグナルを聖職者専門家会議は受け止めることになる、、、まあ、それだけのことだと思います。
その一方でアメリカなど欧米の先進国は「民主的に選ばれた大統領が改革派で、西側との対話を求めている」という風に早合点して、「イランとビジネスしたい!」という機運が高まることは十分考えられます。
つまりイランが変わるより、西側のイランに対する態度の方が遥かに速いスピードで変わる可能性があるということです。
イランは石油の確認埋蔵量(4番目のグラフ)ではサウジアラビアに次いで世界で第2位です。しかしイランを重要にしているのはそれだけではありません。天然ガスの埋蔵量でもロシアに次いで世界第2位(3番目のグラフ)なのです。実は第3位のカタールの持つ天然ガス床とイランのそれは「地続き」というか、そもそも同一の天然ガス床なのです。カタール側ではその鉱区を「ノース・フィールド」と呼び、イラン側では「サウス・パース」と呼んでいます。両者を隔てるのは国境線だけですが、これは地図の上でのことであって、地下の天然ガスの流れがそれで堰き止められるわけではありません。
カタールはラスラファンに巨大なLNGとGTLのコンビナートを建設し、猛然たる勢いで開発を進めています。マンハッタン島全体をすっぽりと包みこむくらいの規模のプラントです。55兆立法メートルとも言われるこの天然ガス田はもちろんロシア全部の天然ガスより大きい、世界最大の地下資源です。それをカタール側からだけストローでチュルチュル吸い上げられるとイランとしてはたまったものではないのです。
イラン側のサウスパースでの鉱区の採掘権の一部を持っているのはディック・チェイニー前副大統領のコントロールする会社(=今はもう手放したかもしれないけど)です。そんなわけで歴史的にはハリバートン(HAL)やその分家であるKBR(KBR)などがつながりがあります。でもLNGやGTLのビジネスは高度なエンジニアリングのノウハウや施工実績が問われるので、この地域で既に実績のある業者が良いと思います。カタールのオリックスGTLの施工は日揮が担当、LNGでは千代建が強いと思います。
オバマ政権はさかんにイランに対してラブコールを送っているのでムードが一変するかもね。

PS:なお世界のエネルギー地図に関して包括的な構図を把握したいと考える方は是非来週のウエブセミナーを聞いて下さい。(怒涛の資料です。)

2009年5月19日火曜日

オバマ政権の心はテヘランに飛んでいる

イスラエルのネタニヤフ首相がいまアメリカを訪れており、今日、バラク・オバマ大統領と第一回目の会談がありました。会談は1時間の予定のところを2時間に延長されました。オバマ大統領はアメリカとイスラエルは友好国であることを強調していましたが、「ホワイトハウスはいつになくイスラエルに対してよそよそしい態度を取っている」と報じるメディアが多いです。

「今年の年末くらいまでにはイランの核問題について彼らが胸襟を開いて話し合える相手かどうか、ハッキリさせたい」とオバマ大統領はコメントしています。

オバマ大統領はイスラエルがヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を拡大することには反対しています。この問題でイスラエルが約束を守っていないことにオバマ政権は不満を持っているようです。

さて、イランではアメリカ人ジャーナリスト、ロクサナ・サべリ(青のスカーフのひと)がスパイ容疑で逮捕され、獄中でハンガー・ストライキをする事件がありました。イランのアフマディーネジャード大統領はイランの最高裁判所に「フェアな裁判を行ってほしい」という極めて異例の書簡を送ったそうです。

ロクサナ・サべリの逮捕と釈放がどういう政治的意図、背景で行われたのかはアメリカ国内にも幾つかの説があり、判然としません。でもイランがアメリカとの対話のきっかけを求めて仕組んだ芝居ではないか?という見方が多くあります。またイランでは6月に大統領選挙を控えており、アフマディーネジャド現大統領が人気取りのために(?)対米強硬路線の緩和をアピールしたいという意図が働いたとする見方もあります。

イラン革命以来、アメリカ政府がこれほどまでにイランとの直接対話に乗り気になったことは過去に無かったことを強調したいと思います。