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2009年6月13日土曜日

世界にとってイランが重要な理由








イランの大統領選の結果がもうじきわかるはずです。
若し改革派のミル・ホセイン・ムサビ元首相が勝ったら、西側諸国のイランに対する態度は軟化すると思います。
イランは大統領が一番偉いのではなく、イスラムの最高指導者が最も権力をもっています。現在の最高指導者はアリー・ハメネイです。
今回の選挙はアフマディネジャド現大統領が勝っても、ムサビ元首相が勝っても、どちらも既にハメネイ最高指導者からお墨付きをもらった候補ですから、その意味では「大勢に影響なし」なのです。
ただムサビ元首相が勝った場合、「イランの国民はアメリカをはじめとする外国との対話をもっと進めるべきだと国民は感じているんだな」というシグナルを聖職者専門家会議は受け止めることになる、、、まあ、それだけのことだと思います。
その一方でアメリカなど欧米の先進国は「民主的に選ばれた大統領が改革派で、西側との対話を求めている」という風に早合点して、「イランとビジネスしたい!」という機運が高まることは十分考えられます。
つまりイランが変わるより、西側のイランに対する態度の方が遥かに速いスピードで変わる可能性があるということです。
イランは石油の確認埋蔵量(4番目のグラフ)ではサウジアラビアに次いで世界で第2位です。しかしイランを重要にしているのはそれだけではありません。天然ガスの埋蔵量でもロシアに次いで世界第2位(3番目のグラフ)なのです。実は第3位のカタールの持つ天然ガス床とイランのそれは「地続き」というか、そもそも同一の天然ガス床なのです。カタール側ではその鉱区を「ノース・フィールド」と呼び、イラン側では「サウス・パース」と呼んでいます。両者を隔てるのは国境線だけですが、これは地図の上でのことであって、地下の天然ガスの流れがそれで堰き止められるわけではありません。
カタールはラスラファンに巨大なLNGとGTLのコンビナートを建設し、猛然たる勢いで開発を進めています。マンハッタン島全体をすっぽりと包みこむくらいの規模のプラントです。55兆立法メートルとも言われるこの天然ガス田はもちろんロシア全部の天然ガスより大きい、世界最大の地下資源です。それをカタール側からだけストローでチュルチュル吸い上げられるとイランとしてはたまったものではないのです。
イラン側のサウスパースでの鉱区の採掘権の一部を持っているのはディック・チェイニー前副大統領のコントロールする会社(=今はもう手放したかもしれないけど)です。そんなわけで歴史的にはハリバートン(HAL)やその分家であるKBR(KBR)などがつながりがあります。でもLNGやGTLのビジネスは高度なエンジニアリングのノウハウや施工実績が問われるので、この地域で既に実績のある業者が良いと思います。カタールのオリックスGTLの施工は日揮が担当、LNGでは千代建が強いと思います。
オバマ政権はさかんにイランに対してラブコールを送っているのでムードが一変するかもね。

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