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2009年6月25日木曜日

イラン情勢に関するNPRのインタビュー

NPRのテリー・グロスがカーネギー基金のカリム・サジャプルにインタビュー

【以下はハイライト】

イランは一枚岩ではない。

革命防衛隊は12万人居るのだが、上層部は兎も角、下級兵士はいろいろな出身の人から構成されている。 ハメネイ最高指導者とアフマディネジャド大統領は今日のイランのごく一部の考え方、狭い党派しか代表していない。 不満はここ2~3年で高まったのではなく、過去30年、燻り続けてきた。だから根が深い。

デモをしているのは単に裕福な中流層だけではない。例えばサウス・テヘランは労働者階級の町であり、そこがデモの最多発生地であるということは今回の騒動が労働者階級をも巻き込んでいることは明白だ。

オバマのカイロでの演説だけが原因というわけではないが、やはりオバマのメッセージは大きなインパクトを与えた。それがイラン内部での亀裂を顕在化させる直接の原因になった。

アメリカはその歴史的経緯から軽率に動くと誤解を招く。でも世界の他の国はもっとイランに働きかけることができる。その意味ではトルコが今回の選挙をすぐ支持したのは残念だった。日本はもっと積極的な役割を果たして良い。

女性がデモ行進しているのはとても象徴的だ。イランの女性はよく勉強し、向学心も強いのに、いちばん虐げられてきた

イラン人がドバイの隆盛を見ると「なんで昔の漁村がこんなに栄え、その一方でわがイランはダメになってしまったのか」と嘆く。海外事情に疎いアヤトラ・ハメネイ最高指導者にドバイを見てほしい。

ムサビ(敗れた大統領候補)は80年代に首相を務め、ホメイニ師と近かった。しかし首相の任期が終わったあと、20年間、政治の世界からリタイアしていた。彼は選挙の直前まではカリスマに欠けた候補だった。例えて言えばジョン・ケリーみたいな存在だ。しかしひとたび選挙に負けて、デモ行進が始まったらムサビが突然勇猛になった。彼は殉教しても良いという腹が据わったとも言える。

若しムサビが勝っていたら、イランは余り変わらなかったかも知れない。なぜならムサビはそれほど心からの改革派でもないからだ。

ところがデモが起こり始めてから、イランの庶民は単なるリーダーのすげ替えではなく、政治システムそのものの変革を求めていることが明らかになった

時間が経てばたつほど政府への信認は低下すると思われる。

ラフサンジャニはハメネイを最高指導者に仕立てたのに、なぜ今は袂を分かつているのか?

それはシェイクスピア劇の世界だからだ。1960年頃からホメイニの弟子として2人は競争的立場にあった。ハフィントン・ポストにホメイニ師の死に接して、次の最高指導者を誰にするかの人選をしているビデオが出ている。それを見るとラフサンジャニがキングメーカーであったことは明白だ。ホメイニ師を最後に看取ったのはラフサンジャニであり、ホメイニ師はハメネイを最高指導者にせよという遺言をラフサンジャニに残した。

ラフサンジャニはハメネイを推すことで影の力を付けられると思った。だがハメネイの時代認識の時計は1970年代で止まってしまっている。世の中が変わったということがハメネイにはわからない。ラフサンジャニはその点、ずっと進歩的である。ハメネイの率いる保守派は79年の精神をそのまま保存しようと考えている。

今ではハメネイ家とラフサンジャニ家は「ゴッドファーザー」のように反目しあうファミリーとなっている。ラフサンジャニのファミリーは実業界のあらゆるところに巣作っており、すごく腐敗している。だからラフサンジャニ家は進歩的で、世界とのビジネスをしたがっているのだ。

ブッシュ政権の下では今回のイランの事件はぜったい起こらなかっただろう。なぜならイランの人はアメリカから常に脅威に晒されていると感じており、そのプレッシャーが国をひとつにしてきたからだ。

ネダのオンライン追悼集会が金曜日に持たれる

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