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2008年8月14日木曜日

日柄(ひがら) ギャレット・ヴァン・ワゴナーの引退に想う

およそ相場にとって日柄(=「ひがら」と読みます)ほど大事なものはありません。

相場は大きく分けて:

①値幅



②日柄

の2つの構成要素に分解できます。

このうち、値幅は「株価が騰がって儲かった」とか、逆に「下がって損した」という事柄ですから、どの投資家も注目しています。

一方、日柄というのは「経過時間」の事を指しているのですが、この「経過時間」の重要性をハッキリ認識している投資家がどのくらい居るでしょうか?。

相当、相場をやりつけている人でも、日柄という概念を自在に使いこなせる人は少ないです。

先日、ウォール・ストリート・ジャーナルを読んでいて、「どきっ」とする記事に行き当たりました。ドットコム・ブームの頃に飛ぶ鳥を落とす勢いで業容を拡張した米国の投資信託、ヴァン・ワゴナー・グロース・ファンドのファンド・マネージャーであるギャレット・ヴァン・ワゴナーが運用の一線から引退すると書かれていたからです。

ギャレットはドットコム・ブーム華やかなりし1999年に年間パフォーマンスで300%近い成績を上げ、一躍時代の寵児となりました。しかしその翌年からは低迷を極め、2000年から2008年(8月現在)の9年間のうち実に7年もマイナスの年を繰り返してしまいました。その結果、過去10年間の全米のアクティブ運用ファンドで業界最下位という不名誉な記録を作ってしまったのです。

たまたま彼のオフィスが僕が昔、勤めていた投資銀行と同じ建物にあったので、エレベーターでギャレットと居合わせることも何度かありました。当時の彼は本当に「水の上を歩けるような」無敵の男でした。

でもひとたび大相場が来て、全てのエネルギーを燃焼し尽してしまうと、後はぺんぺん草も生えないような荒涼とした状態が何年も続くものです。その手の日柄整理はどうしても避けられないし、ひとたびマーケットが日柄整理に入ると、その中で儲けようとするのは至難の業です。

つまり、ドットコム・ブームが終焉した時点で、シリコン・バレーにサッサと見切りを付けられなかったのがギャレットの犯した最大の過ちと言えるかも知れません。

しかし、、、

この、「見切りを付ける」という事が「言うは易し行うは難し」なのです。とりわけ、成功した切り口や方法論を持っている人ほど、その過去の成功の方程式にこだわってしまう、、、。

逆の意味ではギャレットの失意の引退の記事に接して:

「あっ!、そろそろシリコン・バレーの動静にも注意を払う必要があるな。」

と直感したのです。

投資機会を継続的に観察することを自分に課すには、ブログをはじめることがいちばん。

このブログはそういうキッカケで始める決心をしました。

2 件のコメント:

Chako さんのコメント...

踏み上げさん!米国株のカバレッジ、お待ちしてました。「投資世代」も楽しみに読んでますがどうしても途上国の個別株式は実感がなくて躊躇してしまいます。シリコンバレーの投資は大好きですが、でも98-99年ごろに較べて左近はなんかよくわからないです。そもそもベンチャー企業がなかなか公開しなくなったし、SNSなどの(個人的には)もうからないんじゃないかなあ、という分野が「ホット」だそうですがFacebookが公開しても、まあ投資する気にはならないと思うのですね。なので、どこから手をつけたらいいか。楽しみにしてます。

広瀬隆雄 さんのコメント...

chakoさん

コメントありがとうございます。

アメリカのVCの数はピーク時の半分に減りました。

それと同時にドットコム・バブルの時代に積み上げられた、ハイテクなどについてのウォール街の知識の蓄積も殆ど霧散してしまったような状態になっています。

僕の考えでは投資というのはそんな風に何も知らないところから、だんだん知識を積み上げて行き、参加者がどんどん増えて皆が異常なほど或る分野に詳しくなったところで「新しい発見」そのものがもう無くなってしまい、利益機会が喪失されるのだと思うのです。

いまシリコン・バレーはそういう意味では誰からも顧られない存在に成り下がりました。ちょうどBRICsの2002年の状況に酷似しているわけです。

すぐには相場にならないと思いますけど、今から少しずつ知識をリフレッシュする必要を感じています。