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2008年11月25日火曜日

CFD事始 ⑥「板」が薄いと言うけれど、、、





最近のアメリカの株式市場は「板(=買い注文、売り注文のこと)が薄い」と言われます。
これだけ出来高が出来ているにもかかわらず「板が薄い」とは、一体、どういう事でしょうか?

先ず、本当に「板」が薄いのかどうか?についてですが、これは薄いです(笑)。それも単に薄いだけじゃなくメチャクチャ薄いです!だからちょっとまとまった注文を出すと株価を動かさずには買えないし、売れない。

なぜそうなってしまったのでしょうか?

ひとつにはこれまで市場で流動性を提供してきた参加者がもう流動性を提供することをやめてしまったことが影響しています。具体的には投資銀行が顧客の「売り」、「買い」の注文に「向かう」ことをしなくなりました。投資銀行はいまバランスシートならびにリスクの圧縮に躍起になっています。ですから一日に許容できるリスク(そのことをヴァリュー・アット・リスク=VaRと言います)も下がってきているのです。(上のグラフ参照。)このグラフではメリルとゴールドマンの去年と今年の8月末時点でのVaRを比較してあります。いずれも今年になってリスク許容範囲が下がっていることに注目して下さい。

またクウォンツ(統計学)系のヘッジファンドも複雑なアルゴリズムを援用してマーケット・メーカー的に振舞い、市場での売り買いに流動性を提供することで鞘を抜く、そういう取引を縮小させています。(2番目のグラフはヘッジファンド全般のレバレッジが下がってきていることを表しています。)

これらのことからニューヨーク証券取引所出来高に占めるブロック・トレードは激減しました。(3番目のグラフ。)

このため大口機関投資家はVWAPなどの方法で注文を細かく刻み、一日かけてダラダラ買い続けたり、売り続けたりしないといけなくなっているのです。これが米国株のボラティリティーを高くしている原因です。年金などの機関投資家は「VWAPに勝った=良い値段で注文が執行出来た」と勘違いしている場合が多いです。でも自分の注文がマーケットを動かして、結局自分の首を絞めていることにぜんぜん気がついていません。VWAPは一日中、注文が出しっぱなしになるわけですから、値段が壊れてもキャンセルになりません。だから「VWAPの注文が出ているな」という事さえ見抜ければラクショーで値幅取りが出来るのです。

逆にオーバーナイト(市場が閉まっている間)に株価を刺激する材料が出て、或る銘柄の気配がぶっ飛んだ場合でも昔なら投資銀行の自己売買部門がステップイン(介入)して反対側にまわり、しこたま儲けたわけですが、今ではそういうリスクを取るところはありません。だから平気でシティの株価が+50%も跳ねたりするわけです。

これはギャランティード・ストップ・ロス注文を受けないCFD業者に口座を持っている顧客がオーバーナイト(宵越し)でポジションを持つことのリスクが極めて高いことを意味します。僕ならザラ場でVWAPのフローに乗る手法、つまりデイトレに徹する方を選びます。

4 件のコメント:

Hiroyuki Takahashi さんのコメント...

> 一日かけてダラダラ買い続けたり、売り続けたりしないといけなくなっている

これはまた、ギガント級のスゴイ情報をサラリと出してくれましたねぇ(笑)。

このたった2行の情報に、どれだけ大きな価値があるかをきちんと理解できる人がたくさん集まるといいな~。

ではでは。

Happy Trading!!

arai さんのコメント...

踏み上げさん

お疲れ様です。最近はいちカイきゃすとと外国株ひろばの使い方にも慣れました。

CFD口座は今のところ休眠ですが、NY株を横目に見ながらFXを追っていますので、いちカイきゃすとは大切なペースメーカーです。

いつも私たちに有意義な視点を提供していただき感謝しています。

月の中で孤独 さんのコメント...

あー……
どうなんでしょ?
この記事の内容は勿体無い気がするけど…
みんなが知ったら、また通用しなくなって、そんで踏み上げさんその他の教えた人が、後々バッシングされちゃうんじゃないかしら。
(;;)

月の中で孤独 さんのコメント...

踏み上げ太郎さん

wha_man3さんは、踏み上げさんのおっしゃる通り、素晴らしい人物ですね!
僕は、感動した(;;)
wha_man3さんを知ることができたのは踏み上げさんのおかげです。
ありがとうございました。(^^)ノシ