アメリカのベビーブームは1946年から1964年まで18年間も続きました。第二次世界大戦の直後、世界中でベビーブームが起こったのですが、アメリカのベビーブームだけはそのスケールや期間の長さで他国のそれを圧倒しています。
さて、そのブーマー世代の先頭軍団は今年63歳を迎えます。つまりそろそろ定年にさしかかっているわけです。
僕のフィナンシャル・プランナーのマット君は「まいにち、このブーマーの解約から来る売り圧力にどう対応すれば良いかばかりを考えている」そうです。彼のようなIFAは顧客の年齢に応じたモデル・アセット・アロケーションを先ず考えて、それを全ての顧客にあてはめてゆきます。
リタイア族が増えるということは401(k)などのリタイアメント・プランで保有されているミューチャル・ファンドは毎月毎月取り崩されていくわけです。これは恒常的な「売り圧力」になります。
すると後からリタイアする世代ほど徹底的にこの売り圧力を浴びてリタイアメント資産の蓄積が遅々としてはかどらないという危険性があるのです。
こうしたデモグラフィー(人口動態)上のシフトが株式市場に与える影響に関しては例えばPIMCOのビル・グロスなども警鐘を鳴らしています。
IFAは一体どういうアドバイスをすれば良いのでしょう?
先ず一番手堅いやり方としては解約から来るプレッシャーに先回りして、一足先にアセット・アロケーションのミックスを保守的なものに変更してしまうというやり方です。
この選択肢は去年の秋口に世界の株式市場が急落して、リタイアメントを直前に控えた顧客層のポートフォリオの修復が困難になったとき、「これ以外に無い」とほぼ決定的になってしまったのです。
それからマット君以外のFPの友人と話をしていても皆、口を揃えて言うことは「一度ミューチャル・ファンドを取り崩しはじめたら、もう2度とミューチャル・ファンドにはお金は戻ってきていない」ということです。
マーケットのリバウンドを取りに行くという際は「ミューチャル・ファンドではなく、ETFを使うよ」というFPが圧倒的に多いです。しかも「一度ETFの味を覚えたら、もうミューチャル・ファンドには戻れない」とすら言うFPも居ます。
するとミューチャル・ファンドへの資金の流入というのは「給与天引き型」の強制貯蓄プログラムだけということになってしまうわけです。
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