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2009年2月22日日曜日

恐慌脱出のレシピー




(このへんかな?、、、、)

サンフランシスコの対岸のオークランドにはときどき用事があって行くことがありますけど、そのたびごとに考えるのは高橋是清が奴隷として奉公した家があった場所のことです。

高橋是清は日本の歴代の大蔵大臣の中でもエース格の人物で海外の経済学者からも評価が高いです。

いま再び高橋是清の恐慌時の処方が注目されています。その理由はカンタンで、1929年の大暴落に端を発した世界恐慌から最も早く、最も力強く立ち直った国が日本だったからです。

是清は「ケインズよりも早くケインジアン的な発想を実行に移した人」と評されています。具体的には柔軟な財政出動が出来るように即座に金本位制度を離脱(上のグラフ中、赤の矢印)しました。次に為替を思い切り円安に導き、日本の輸出競争力を回復しました。(すぐに貿易が回復していることに注目して下さい。)さらに赤字国債を発行し(それもマネーサプライがどんどん増えるよう、大蔵省と日銀の間で国債を引き受けあうという手の込んだトリックを使います)、主に過剰設備に苦しむ重工業を重点的にテコ入れしました。その過程で軍需への予算割り当てもガンガン増やしました(=重工業が潤うから。)

上記のような是清のレシピーは「時代を先取りしていた」と同時に「誰がやってもこういう解決法に帰着する」という、いわばデフォルト的選択肢であるとも言えます。とりわけ過剰設備や輸出依存体質や内需の貧弱という面で共通点の多いこんにちの中国は是清レシピーを採用することのメリットが大きいのではないでしょうか?

さて、「この映画がどういう結末を迎えるか?」については、やはり書かない方が良いのかも知れませんけど、是清本人は2.26事件の凶弾に倒れ、日本はファシズムへの道を歩み始めます。


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