中国は世界で初めて試験を「発明」した国だと言われています。そんな言い伝えからもわかる通り、中国の社会は各種試験をとても重視する社会だし、ATAの財務部長に言わせれば「世界で最もカンニングや不正をする奴が多い」国でもあります。国家試験の内容が事前に漏えいしたり、テストの段取りに手違いがあったりすると、だから大変なスキャンダルになるのだそうです。去年の国家の資格試験の受験者総数は6000万人でした。
そういうお国柄ですからATAのように資格試験サービスで一度代行業者に指名されると失敗が無い限り指定替えになることはまずありません。その意味では独占的色彩が強いビジネスです。
ATAは1999年創業で、これまでは主に政府の資格試験の代行の仕事をしてきました。しかし最近は企業の採用に際する能力テストを代行するサービスも開始しています。「HRセレクト」と題されたこのサービスは未だ始まったばかりです。さらに「TOEIC」などの外国から輸入されたテストも実施しています。
この会社の決算は3月〆で、FY09年の売上高は2.2億人民元(前年比+30%)でした。通年の営業キャッシュフローは約3400万人民元です。また、バランスシート上にはIPOのときのキャッシュ4500万ドルが未だそのまま載っています。
現在、中国に於ける資格試験の大半は紙と鉛筆の昔ながらのテスト方法が使われていますが、今後、ATAのようなコンピュータ・ベースの試験が増えると思われます。ATAは中国全土で1900か所のテスト・センターをフランチャイズ方式で展開しています。テスト・センターの稼働率は僅か7%ですので今後どんどん新しいテストを追加することが出来ます。証券、保険、不動産などが当座の成長分野です。
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