今日はアマゾン・ドットコムにとって特別な日です。
引け後の決算発表が良かったので、アマゾンの株はアフター・マーケットで+14%以上、ぶっ飛んでいます。大事なことは、現在の気配、$106.98が1999年12月10日に付けた$106.69の過去最高値を超えたということです。
つまり新値。
同社株はドットコム・バブルがはじけた後の2001年には瞬間、5ドル台にまで売り叩かれました。殆どの投資家は二度とアマゾンが100ドル以上に戻すことはあるまいと匙を投げたと思います。
アマゾンは僕にとっても思い出の深い株です。
IPO前の幹事争いはとりわけ熾烈でした。結局、主幹事はフランク・クウァトローンのドイチェ・モルガン・グレンフェル(DMG)がさらいました。
当時クウァトローンはCSFBから巨額のサイニング・ボーナスとともにDMGに移ったばかりで、未だ実績らしい実績が無く、新しい職場で自分の価値を立証することがどうしても必要だったのです。
つまりアマゾンはクウァトローンのドイツ銀行に対する手土産だったわけです。
アマゾンは巨大な配送センターなどBrick & mortar(ブリック・アンド・モルタル=先行投資にお金のかかる、「器モノ」のこと)にお金をかけないといけないので資金調達ニーズも他のドットコム株とは比べ物にならないほど大きかったです。そんなわけで転換社債などの発行のニーズもありました。
これは証券会社にとっては良いお客さんですが、投資家にしてみればポータルやルーターの会社の方が黒字転換しやすいのでアマゾンは「鼻つまみ者」扱いされました。
「アマゾンだけには投資したくない。」
「あの会社は永遠に利益なんて出ない!」
「ドットコム・ブームの悪い面をすべて体現している会社だ。」
日本の投資家からもそういう批判は強く、結局、こんにちに至るまで、アマゾンをコアにして持っている日本の大手機関投資家は(一部の投信を除けば)皆無に近いと思います。
でも株式分割を勘案すると、当初$1.50だったアマゾンは立派に$106.98迄、上昇しているわけです。
当時ファンドマネージャーをやっていた人間は殆ど配置転換などでもう運用の現場にはタッチしていないだろうし、未だ現場でやっている人も、当時アマゾンをケチョンケチョンにけなしたことなどすっかり忘れているはず。
そういう人ほどドットコム・バブルを過去形で語る場合が多いです。
でも先日のアップルにしろ、インテルにしろ、今日のアマゾンにしろ、アメリカのハイテク・ビジネス、あるいはネット・ビジネスは「死んでいる」どころか元気バリバリなのです。
いい加減、目を覚ました方が良いと思いますよ。
1 件のコメント:
もはや小型株ではないのに1日で27%の上昇には正直驚きました。
その一方でバーンズ・アンド・ノーブルの対称的な動きに時代を感じます。
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