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2009年10月2日金曜日

ブラジルの基礎 その4 【過去記事の再録】

ブラジル社会の多様性
ブラジルの社会を語るとき先ず最初に指摘されるのはその多様性です。ブラジルにはサンパウロやリオ・デ・ジェネイロのように世界でも屈指の大都会があります。ブラジルの国民の約8割はそうした都会に生活しています。その一方でブラジルにはアマゾンに代表される大自然があり、昔ながらの生活をする原住民も存在します。

ブラジルの貧困問題
ブラジルは植民地時代の名残である階層化された社会を受け継ぎました。そのため現在でも同国は世界で最も貧富の差が激しい国のひとつとなっています。1990年の統計によると極度の貧困層と分類される人口は約3200万人にのぼり、過疎地人口の43%、地方都市人口の18%、大都市人口の10%がこの極貧層に属します。社会的・経済的不平等は住居、環境、教育などあらゆる面で見えない壁を作っており、一般に違う階層の人間が交流する機会は少ないと言えます。例えば高所得者層は瀟洒な住宅地に住み、私立の学校に子供を通わせ、自家用車を持ち、ショッピング・モールで買い物をします。一方、都市に住む貧困層はファヴェーラス(favelas)と呼ばれるスラムに住んでいます。彼らの暮らしを上流階級の人達が目にすることは普段は無いと言われています。

ブラジルの人口動態
ブラジルの総人口は約1.8億人です。ブラジルの人口増加率は1960年代~70年代の軍事政権の時代に年間平均人口増加率が3%を超える高成長を記録しました。これはブラジル経済の高度の工業化ならびに都市化の進行が背景にあります。現在は出生率は低下しており、人口ピラミッドは現在の三角形型から将来はだんだん高齢化のパターンを示してゆくと予想されます。ブラジル人の平均寿命は男性が約68歳、女性が75歳です。また、ブラジルの乳児死亡率は中国と同じで1000人につき27人です。

ブラジル国民の混血化
ブラジルは1500年代にポルトガルの植民地として移住が始まりました。従って人種的には入植者であるポルトガル人、先住民、そしてプランテーションの開発の為にアフリカから連れて来られた黒人などから構成されています。白人のことをブランカ、黒人のことをプレタ、先住民のことをインディジナと呼んでいます。しかし、時代とともにパルダと呼ばれる混血者が増えました。また、日本からの移住者のような黄色人種系はアマレーラと呼ばれています。1999年の時点ではブランカは全体の約54%、プレタは5.4%、パルダは約40%を占めています。アマレーラとインディジナはそれぞれ1%以下です。

教育、宗教、治安など
ブラジルの識字率は88%です。同国では原則義務教育なのですが家庭の経済状況などの理由で実際には低所得者層を中心に退学率は高いです。ブラジルのカトリック教徒は人口の約74%を占めています。その関係もあり離婚が正式に合法化されたのは1977年です。また、女性が憲法上男性と完全に平等に扱われるようになったのは1988年からです。ブラジル人は一般に寛容で和を尊びます。また礼儀正しく、なるべく対立を避けることを選びます。その反面、個人主義的で他人より自分を優先する考えの人も多く、公共心に欠けているとも言われます。またルール厳守の意識は低いです。さらに都市部での治安が悪い点も付け加えておくべきでしょう。

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