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2009年10月25日日曜日

「O Phone」で恩恵をこうむるマーベル・テクノロジー(MRVL)

チャイナ・モバイルは5.08億人(*)の加入者を誇る世界最大の携帯電話会社です。そのチャイナ・モバイルが「iPhone」の中国版、「O Phone」を展開し始めています。これはハイテク業界にとって大事なことです。なぜなら現在のアメリカの「iPhone」の加入者数は320万人にすぎないし、AT&T全体の携帯電話加入者総数は8160万人に過ぎないからです。これは中国全体の人口の僅か11%です。つまり数年後を考えた場合、中国が世界最大のスマートフォン市場になる可能性があるということです。

「O Phone」はグーグルのアンドロイドというOSを利用しています。アンドロイドは「iPhone」のような操作感を、余り重くならないデザインで実現しています。チャイナ・モバイルはアンドロイドOSの上に独自のインターフェースを載せていますが、これを動かすためにはパワフルな半導体が必要になります。

マーベルは2006年にインテルの携帯電話チップ部門であるXScaleを買収しました。XScaleはインテルが携帯電話市場への参入を企てて設立した部門ですが、プロジェクトは途中で頓挫しました。そこでインテルがXScaleを売却した際にマーベルが飛びついたのです。

マーベルの世界観は「次世代のコンピュータは従来のデスクトップとかノートブックのような形状を必ずしもしておらず、ありとあらゆる形態を取りうる。その無数のコンピューティング・デバイスのひとつひとつにマーベルのチップが採用されるべきだ」という壮大なものです。

そしてとりあえず最初にそのバトルの主戦場になるのはスマートフォンに違いないということに目星をつけ、世界最大の携帯電話会社であるチャイナ・モバイルと早くから共同開発にあたってきました。

これまでに「O Phone」のハンドセットはLG、デル、レノボ、フィリップスなどが発表しています。これらの製品のほとんどでマーベルのチップが活躍しているのです。

マーベルは「O Phone」市場向けのシングル・チップ・ソリューションであるPXA920シリーズを発表しています。現在、PXA920はサンプリング中であり、来年から量産に入ります。 同社のライバルとしてはクウァルコム、エヌヴィディア、STマイクロなどが考えられます。

現在のマーベルの株価評価を見た場合、この「O Phone」のポテンシャルは余り株価に反映されていないと感じます。

(*)オリジナルの文章では数字を間違えました。すみません。

3 件のコメント:

LuckyDevil さんのコメント...

広瀬さんのブログは3カ月ほど前から読ませていただいております。視点がフェアですしかなり勉強になります^^
私も、昨年末から投資をはじめましてETFと米国株・ADR中心で運用しております。
今後とも面白い記事を楽しみにしてます。

Josh さんのコメント...

1つ間違いを指摘させてください。CMCCのSubscriberは5億人です。7億というのは中国市場全体です。

広瀬隆雄 さんのコメント...

Joshさん
間違いのご指摘ありがとうございます。
Joshさんのおっしゃる通りです。

後で本文も直しておきます。
今後も気がついた点があればぜひご指摘ください。