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2009年11月25日水曜日

ベトナムのデバリュエーションは大材料 警戒を解かない事!

ベトナムが「寝耳に水」のドン切り下げを断行しました。

今の時点では情報が極めて少ないので、憶測でこれを書きます。
先ず今回、ドン切り下げに踏み切った直接の理由はオバマ大統領の訪中が人民元切り上げにつながらなかったことによると思います。
人民元は米ドルにペッグされているのでどんどん人民元安になっています。これは中国の周辺国の競争力を著しく低下させています。そこでベトナムもcompetitive devaluation、つまり競争上、通貨の切り下げをしなくてはならなくなったわけ。

さて、この手の通貨の切り下げを断行すると慌てた投資家がベトナム株を売り、資金を引き揚げるというシナリオが考えられます

その場合、ドン売り・外国通貨買いの換金要求に応えなければいけません。このプレッシャーの大きさによっては外国通貨の準備が払底する危険性もあります。そこでベトナム政府は輸出企業で外貨を持っているところへ「外貨を回してくれ」とリクエストしているそうです。

さらにベトナムは金利を大幅に引き上げます

これは通貨を防衛しようとする国が行う常とう手段です。

ただベトナムの場合、金利引き上げはバブル抑制というもうひとつの目的も持っています。去年の金融危機以来、ベトナムはどんどん銀行融資を拡大し、不況対策としてきました。そのお金が不動産市場などに流れ込み、バブルを生んでいるのです。

ついでに言うとこの現象は中国で現在見られている現象とスケール的にも、症状的にも酷似しています。

ところで中国の5大銀行は昨日、銀行監督当局に対し増資計画案を提出しました。銀行監督当局は各行に対し長期資本計画の立案を指示しています。このやりとりには少し「解せない」ものを感じました。

その中で;

①過小資本の銀行については新規ビジネスの許可をしない
②海外進出を許さない
③新規支店出店の制限
④その他業務拡張を制限する

と発表されているのですが、監督当局の懸念が滲み出ているように感じるのです。ちなみに各行の自己資本比率(CAR)は:

工商銀行 12.6%
建設銀行 12.11%
中国銀行 11.63%
交通銀行 12.52%

であり、これだけを見るとOKのように見えます。しかしNPLの問題はどれだけ資産内容が劣化したとき、それを「不良債権である」と呼ぶか、その会計基準が違うし、だいいち援用にばらつきがあるので、本当のところ中国の銀行の資産内容がどのくらい朽ちているかは、わからないのです。

ですから今日のベトナムの展開いかんによっては中国市場にも不安が走るでしょう。

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