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2009年11月18日水曜日

連載 ノマド型投資でフロンティア・マーケットに挑戦 ②


【ノマド型投資の欠点】
ノマド型投資で最も難しいことを最初に断ってきます。それは撤退のタイミングです。

どの投資先が一番有望かを見極めるのは、実はそれほど難しいことではありません。

いち早くそういう有望なマーケットを特定し、その市場に関する勉強をし、ある程度成功を収めた後で、投資家は大きな危険に晒されるのです。その危険とは、自分が長い時間をかけて勉強したがゆえに未練が残ることです。

大きく儲けて味をしめたことで虜になる、最初は理詰めで投資先を選定していたのに、いつの間にか盲信的な「信者」になってしまう。

折角築いた大きな富を全部吐き出してしまうのはそういう時なのです。

自分が一生懸命勉強し、慣れ親しんだ投資対象国、たとえば中国でも日本でも良いわけですが、まずそれを捨てる勇気が無ければ、そもそもノマド型投資はできません。

これは簡単に実践できることのように思えるのですが、実際にやるとなると強固な意志が必要です。殆どの投資家はこの最後の「仕上げ」の部分で失敗してしまうのです。

【センチメンタリズムを排するノマドの哲学】
研究者によれば農耕社会では血縁よりも地縁が重要であり、その社会は階級的、保守的であるとされています。個人の自由より社会の安定が上位に置かれ、指導者はごく一握りの人間で、しばしば世襲制です。

羊やヤギを飼いならすという習慣は砂漠のオアシスでもともと農耕を営んでいた人々が覚えたことです。

しかしオアシスでは水が無限に出るのではなく、限られた資源を人々や家畜が分かち合わないといけません。つまりパイはきまっているのです。

より沢山の羊やヤギを飼い、より豊かになろうと思ったオアシスの民は限定されたオアシスの耕地の負担を増やさないために羊やヤギを放牧することを覚えました。良い牧草地を求めて夏には高い山へ、冬には渓谷や低い土地の草地へと移動を繰り返したのです。遊牧民はこうして生まれたのです。

遊牧にはさまざまなリスクが伴うので、家族の中で強い者だけが遊牧者として志願しました。遊牧民は強靭な身体と精神力をもっています。辛いライフスタイルである代わりに常に誰からも指図されない自由があります。

遊牧民は固い団結力と強いリーダーシップをもっています。遊牧の一群の最大規模はだいたい羊で言えば3000頭です。それ以上になると収量逓減の法則が働いてしまい、生産性は低くなります。すると沢山の比較的小さな規模の遊牧のグループができ、そのそれぞれにリーダーシップが出来あがるのです。

遊牧民には「自分はどこの国の国民だ」という意識は希薄です。それよりクラン(部族)への帰属意識の方が高いです。

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