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2008年9月5日金曜日

グーグルの「クローム」を巡って

グーグルのウエブ・ブラウザー「クローム」が今度こそマイクロソフトのウインドウズを駆逐する可能性があるかどうかについてchakoさんからご質問を頂きました。

どうもありがとうございます。

僕の考えはこうです。

1.先ず「好き嫌い」の問題がある。
2.次にビジネスとして、会社で使えるか?の問題がある。

説明します。
いま、ノートブックなどの生産性補助ツールはどんどんパーソナライズされてきています。それは「スタイル」という言葉に置き換えても良いでしょう。つまり「スタイル」のある商品は売れるし、無いものは売れない。

アップル(ティッカー:AAPL)が売れているのはそのためです。

グーグルには熱烈な固定ファン層がついています。つまり「パッション・ブランド」のひとつなのです。「僕はグーグルのブラウザーを使っているよ」と言えば、それはひとつの自己主張になり、「スタイル」の表現になるわけです。その意味では「クローム」はマイクロソフトにとって1990年代半ばにネットスケープが登場したとき以来の脅威となる気がします。

しかも「クローム」は単なる「入り口」に過ぎず、そこからマイクロソフトが提供している、エクセル・スプレッドシートに代表されるビジネス・ツールに対抗する、グーグル独自のいろいろなビジネス・ソフトウエア・ツールを使わせようという魂胆があるわけです。

つまり「クローム」は『トロイの木馬』なのです。

ただ、いかに熱烈なファンが居たとしても、会社という環境で同僚や取引先やベンダーとのビジネスを行っていかないといけない状況に置かれたとき、自分だけがグーグルのツールを使えるか?と言えば、これは未だ機が熟していない感じもします。

例えば僕は仕事でマイクロソフトのパワー・ポイントを多用します。本当ならアップルのプレゼンテーション・ツールの方が優れているという意見が多いのですけど、講演会やネット勉強会の場では会場のセットの都合などの理由から多分、パワー・ポイント以外は使えない気がするのです。(因みにネット・セミナー業者、「直伝」のシステムはマックには対応していないと思います。)

だから「クローム」が広く受け入れられ、マイクロソフトの牙城が崩壊するためには草の根のレベルで多くのユーザーがグーグルのツールにどんどん転向するようなブームが起こる必要があると思うのです。

ただ、グーグルにも希望はあります。

その理由は例えばアメリカの場合、個人で事業をやる人の総労働人口に占める割合はどんどん上昇しています。今や彼らこそがマジョリティー(多数派)であり、所謂、サラリーマンは既にマイノリティー(少数派)になりました

すると会社からとやかく言われる筋合いは無くなるわけです。また、ブログもその好例ですけど、最近の消費者はネットを使うにしても、そこでただ受動的にコンテンツを消費するだけではなく、自らコンテンツを創っている時間の方が長いという調査もあります

つまり消費者(コンシュマー)から創費者(プロシュマー)へと大衆が変化しているわけです。

創費者(プロシュマー)はSoftware-as-serviceと呼ばれる、ホスティング型(例:セールスフォース・ドットコム)の生産性ツールを特に好みます。この消費者ビヘイビアの粛々としたシフトこそがマイクロソフトが気をつけないといけない水面下での変化なのではないでしょうか?。

1 件のコメント:

Chako さんのコメント...

さっそく、ありがとうございました。確かに、MSFTはOSやOfficeツールがビジネスのスタンダードになっているので、そこのところは簡単にはひっくり返らない、ということはありますね。ブラウザーは簡単に変更が聞くし、FireFoxに乗り換えたユーザーも既に多いですけど(私も最近、乗換え組みの一人です)。