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2008年9月17日水曜日

今度という今度はメレディスが間違っていると思う


オッペンハイマー証券の銀行アナリスト、メレディス・ウィットニーは銀行各行の焦げ付き融資の査定が甘いと指摘しています。僕は彼女が間違っていると思う。

【メレディスの議論】
住宅価格の先物指数は現在、過去最高値から▼33%するシナリオを織り込んでいる。

それにもかかわらず銀行各行は値洗いの際の目安として住宅価格指数下落幅で次のような想定値を使用している:

ワコビア銀行(WB)▼20.8%
シティ(C) ▼23%
バンカメ(BAC)▼25~30%
JPモルガン ▼24%

既に先物は▼33%を織り込んでいるから、これらの銀行の査定は甘すぎる、、、。

   ■   ■   ■

僕は上のメレディスの議論は間違っていると思います。

なぜなら以前にも示した、ケース・シラー指数の前月比下落幅のチャート(上図)をみると10月頃にはケース・シラー指数は下げ止まると考えるのが一番自然だからです。
仮にあとふた月、▼0.5%程度の下落があったと、悲観的に見た場合でもメレディスの言う、現在のケース・シラー指数の高値からの下落率(=20.3%)に1%を足して、21%ちょっとくらいの下げ幅にしかなりません。

つまり住宅価格の先物指数自体がぜんぜんトンチンカンな水準なのです。
(因みに10月末発表のケース・シラー指数は8月〆のデータです。)

僕は10月にはケース・シラー指数は前月比±ゼロになると信じていますが、若し万が一、10月のデータが依然マイナスであっても、11月には必ずプラスになります。(それはファニーメイ、フレディマックの国有化で住宅ローン金利が歴史的な下落を見て、ローン申請数が急増したからです。)

11 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

踏み上げさんの10月こつん説を補強する材料が続いています。

世界に売った建機をリアルタイムでモニターしているコマツの会長が、横浜市内の公演で、「米東北部での建機の稼働率が底を打った」と発言したそうです。

広瀬隆雄 さんのコメント...

たこすけサン

そうですか!
それはとても面白いデータ・ポイントですね。貴重な話をありがとうございます!。

GG さんのコメント...

はじめまして。GGと申します。今日初めて
踏み上げ太郎さんのブログを拝見しました。
こんなに良いブログがあったのか!と驚いてブックマークしました。貴重な情報をありがとうございます。毎日見に来ます。
私は、個人トレーダーで、日本株式を中心にトレードしてますが、米国株にも投資しています。AIGなんですが、リスクとリターンを考慮すると、博打を打っても良い株価まで下がってきたと思っています。公的資金注入が決まれば$20くらいまでは戻す見積もりですが(売り筋が担がれるのでもっと行くのかも?)、無ければ、$4位の損失ならOKかなと。素人の浅はかな考えですw

広瀬隆雄 さんのコメント...

GGさん

コメントありがとうございます。

AIGはNY連銀からの有担保融資が決まりましたね。

でもこれで一安心かどうかは僕には何とも言えません。

それにはいつくか理由があります。

先ずAIGは去年の12月までは「サブプライム絡みの損は最大でも5億ドル」と言っていたんですね。ところがそれがいきなり「600億ドルくらい飛んじゃう」という話になって、投資家は「話が違う!」と怒り出したわけです。

それとサブプライム絡みの証券の評価損の査定が他の金融機関よりだいぶ甘い(例えば倒産したリーマンより20%くらいも「時価はこのへんでしょう」という査定額が高い位置にあるんです。

リーマンが潰れたことでAIGのこの目利きは「楽観的過ぎる」という市場の評価になっています。

ここ連日40%くらい一日で株価が下げたのはそのためです。

もともとAIGのバランスシートはリーマンとは比べ物にならないくらい肥大していますから、ほんのチョッとのブレでエクイティー(自己資本)は吹っ飛んじゃうというのが僕の計算です。

だから今回の700億だか800億だかの用立ても、一瞬で使い果たしてしまうかも知れません。

株価的には30%高の後、50%安、そしてまた30%高、、、というような超荒っぽい動きになると思います。

匿名 さんのコメント...

たこすけさんの仰ってるコマツ社長のニュースは以下に出ています。

http://jp.reuters.com/article/resultsNews/idJPnTK016204320080916

ちなみに
http://redskyinevening.blog116.fc2.com/
で紹介されていました。

匿名 さんのコメント...

着工件数と建築許可件数は予想を下回り、ローン申請指数は予想を大幅に上回ったようですが、どうもよくわからない傾向ですねぇ。
このばらばらの動きって説明がつくものでしょうか?
今日の数値は10月コツン説に対して何か影響はありますか?

広瀬隆雄 さんのコメント...

mmさん

あ、着工件数は全然関係ないです。
だって売り家が余っているのに新規で着工する必要ないですから。

相場が悪いとき、IPOが減るのと同じ理由です。

でもIPOが減ったから、相場がもっと悪くなるということは無いでしょう?。

むしろ着工は減ってくれないと困るんです。

匿名 さんのコメント...

早速のご回答ありがとうございました!
新築はIPOみたいなもの、わかりやすいです^^

ローン申請が増えたのは、中古がさばけたということですか?
だとしたら一番よい組み合わせ??

なのに相場はまたそれをダシにして下げてますね。
緊急資金調達目的でしょうか…
ならいずれ収まって戻るのでしょう

広瀬隆雄 さんのコメント...

mmさん

コメントありがとうございます。

あの、いま米国の金融界で起こっていることはデリバティブの流通市場が機能しなくなったことで皆慌てているのです。

リーマンもこれが原因だし、AIGもこれが原因です。

でも政府がファニーメイとフレディマックを買って、実質的にそれらの債券を全部引き受けることになったわけですから、今後は極論をすれば流通市場は機能しなくても個人の人が家を買いたいと思ったとき、ローンは提供できるのです。

だからこそ僕は実体経済の住宅指標であるケース・シラー指数はボトムを打つと確信しているわけです。

別の言い方をすればCDO市場はちょうどドットコムというカテゴリーがほぼ死滅したように、今後、市場としては大幅に衰退する市場なのです。

だから、今更、そんな壊れてしまった市場のことを心配しても意味ないと思うんです。

ファニーやフレディが政府の直轄化で持ち切りのローンをどんどん出せる以上、住宅ローンは提供されつづけます。

ledmledm さんのコメント...

ローン申請の増加って、ほとんどが借り替えでしょ
あまり過大評価はできないのでは?

広瀬隆雄 さんのコメント...

ledmledmさん

コメントありがとうございます。
勿論、借り換えもあると思います。
でも初めて持ち家を買う買い手がローンを組んでいるケースも多いです。

いまマーケットで起きていること(=リーマンの倒産による様々な証券の放出、ならびに値洗いの必要性の発生)と実態経済(=つまり住宅市場そのもの)との乖離がありすぎるんです。

証券市場の方では大量の証券の供給によって買い手がつかない状態になっています。

でもマイホーム購入者の立場から物事を見ると、金利は50bpも下がったわけですから、「借り難くなった」という表現はあてはまらないんです。