多くのエコノミストやストラテジストは「住宅市場はあと9ヶ月くらい底打ち出来ない。だからボトムをつけるのは来年だ。」と主張しています。
僕も住宅価格下落の問題を軽視するつもりは全くありません。アメリカが住宅不況から本格的に立ち直るには何年も先だし、住宅価格は急反発しないと思います。
それを断った上で、「こつん」と底打ち感がでるのは、実はみんなが考えているよりずっと早いタイミングだと思っています。具体的には10月を想定しています。
その理由はなぜか?
8月27日に発表されたアメリカの住宅価格に関する統計、ケース・シラー指数によると6月の米国の住宅価格は前年同月比でマイナス15.9%でした。
それだけを聞くとまだまだアメリカの住宅は駄目なように感じます。
でも5月の時点で全米20の大都市のうち、7つで既に住宅価格は上昇に転じていました。
今回、6月の統計では全米20の大都市のうち、9つで住宅価格は上昇したのです。つまりもう少しで半分ですね。
実際、住宅価格が上昇に転じたボストンやクリーブランドなどは今回の住宅不況で最初に住宅価格がマイナスに転じた地域でした。つまり下落に入るのが早かった都市から、順番に底打ちしているのです。
上に述べたように今回のケース・シラー指数は前年同月比較では-15.9%と一見、冴えません。でも株をやる人間は変化率(=⊿)にこそ注意を払うべきなのです!。
先月と比較して今月の住宅価格は下がったのか?という月次比較で見ると明らかに下落のペースは鈍化しているのです。(真ん中のスライド参照)
この調子がそのまま続けばあと2ヶ月もしないうちに前月との比較はプラスに転ずる可能性すらあるのです。
今回発表されたのは6月の数字ですから、2ヶ月遅れで統計が発表されるわけです。これで行けば8月の数字、つまり10月に発表されるデータあたりがひとつの転換点になる気がします。
若し、「住宅価格が先月とくらべてもう下がらなくなったぞ!」とニュースのヘッドラインに出れば、それは投資家にも注目されると思います。そのことはもちろんアメリカ株にも影響があるでしょうけど、世界の株式にも良い影響を与える可能性があります。つまり10月にはアメリカ株も、新興国の株も大きなトレーディングのチャンスがやってくると僕は考えているわけです。
11 件のコメント:
この記事には関連してない質問ですみません。先日の「もっと発言を・・・」とのお言葉に甘えて質問です。
最近、PCからMacに乗り換える、という話を幾つか聞きました。乗り換えてみたら、仕事に使うにもメール・プログラムも使いやすくて乗換え組みは大満足とか。また、iPhoneの人気に触発されたりテレビのコマーシャルを見てMacとまた見直した、という人もいます。
まだ少数派かもしれませんが(しかも、シリコンバレー特有の現象かもしれないけど)、これとGoogleのChromeなど、またVistaがあまり好調でないことを考えるとMicrosoftの成長に陰りが出る、と考えるのは早計でしょうか?
chakoさん
chakoさんが質問されていることはとても大事な命題だと思います。(実はいまずっとそこの部分を調べていました)
時間があるときにこれについての僕の考えをちゃんとしたエントリーに立てます。
踏み上げ太郎さま
昨日の勉強会はとっても参考になりました。
10月にこつんと来た場合、
BRICsのどのセクターが面白いと思われますか?
市況株はまだまだダメでしょうし、
例の円の”左下”のドフェンシブセクターでしょうか?
よろしくお願いします
昨日の勉強会は、大変参考になりました。
10月にこつんと来る。
ということは、
「景気のボトムが近い、株式市場は半年ほど先を読むので、10月のこつんは、いい買い場である。」
と理解いてもいいんでしょうか。
その他注視しておくべき指標はございますか。例えば、長期金利、など。
よろしくお願いします。
いつも大変勉強させていただいてます。
5月と6月の住宅価格の上昇が、一時的な動きである可能性はないのでしょうか?
戻し減税やダウ平均の13000ドルまでの株価上昇で個人のセンチメントがかなり上向いていた時期だと思います。
mmさん
コメントありがとうございます。
とりあえず医療機器のセクターが良いと思います。銘柄的にはMRとCMEDですか?。
匿名さん
ご質問ありがとうございます。
9月は相場が悪いと思います。
10月も過去に大暴落などあった月ですから、神経質な展開でしょう。
ケースシラー指数は月の後半に発表になります。だから10月の終わり頃まではこの「手がかり」から取引することは出来ません。
でも若し住宅価格が「もう下がらない」という認識が出れば、証券株などが買われると思います。MER、UBSなどが良いでしょうね。
たこすけサン
ご質問ありがとうございます。
騙しである可能性は当然あります。
ただ、僕は住宅価格そのものも注視していますけど、それ以上に投資家の先入観というものに対して気を配っています。
いまのコンセンサス意見は「どうせ住宅は駄目にきまっている」という強い意見の一致が出来上がっています。でも例えばABX指数などから現在の住宅市場のフェア・ヴァリューを演繹的に推し量ろうとするのは馬鹿げたやり方ではないでしょうか?。
滑稽なほど住宅価格の予想が低すぎるのがちょっと気になったのでエントリーを立てた次第です。
ご回答ありがとうございます。
踏み上げ太郎さんの考え方を教えていただき、大変参考になりました。
「こつん」を睨みながら、騙しの可能性にも備えつつ、相場に望むことにします。
確かに住宅は、新築も中古も今年に入ってからそんなに落ちていませんよね。ただ踏みあげさんだけでなく、8月の住宅指標に対してはさまざまなブローカーからポジティブサプライズの声があったように思います。
住宅が下げ止まれば、サブプライム禍のかなりの部分に打ち止め感が出ると思いますが、その割りに相場は厳しいです。件のケースシラーの楽観的な数字に対して、逆に注意すべき点などございますでしょうか?
ご回答ありがとうございました。
「手がかり」から取引できない、というご指摘をしっかりと頭に叩き込んでおきます。
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