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2008年9月7日日曜日

Maverick


映画『トップガン』はご覧になった方も多いと思います。トム・クルーズ演じる主人公のパイロットはあだ名がMaverickでした。(これが日本語への翻訳でどう訳されていたかは、僕は日本に住んでいないのでわかりません。)
Maverickというのは他人から自分がどう見られていようが意に介さず、自分の考えを貫く人の事を指します。
共和党大統領候補ジョン・マッケインのあだ名もMaverickです。これが偶然なのか、或いは『トップガン』からの連想があるのかは僕は知りません。なぜならマッケインはベトナム戦争時は爆撃機のパイロットであり、ハノイ上空で被弾してパラシュート降下、そのまま街中の池にドボン。必死の思いで岸まで泳いで、陸に上がったらハノイ市民に袋叩きに遭い、瀕死のところまで行くのですが、市民の中の或る看護婦さんが「ちょっと待て、この人だって人間だ。こんなやり方で殺してはいけない。」ということで仲裁に入り、マッケインを看護したのだそうです。その後、マッケインはすぐ「ハノイ・ヒルトン」(戦争捕虜の刑務所)に収監されます。
議員さんになってからのジョン・マッケインは議員立法の実績という点では他のどの議員と比較しても遜色の無い、無数の実績を誇っています。国際政治、外交面での判断力や実績という点でもその実績は今更説明するまでもありません。
ジョン・マッケインの息子さんは軍人であり、イラクに居ます。でもマッケインはそれを殊更選挙活動の中で強調したりしません。(いや、むしろ一切、言及していないという方が正確です。)
つまりジョン・マッケインの愛国心や国への奉仕という点では彼のクレディビリティーは完璧であり、殆どフォークロア(民話)的なレベルで共和党支持者の間では語られているわけです。
アメリカ大統領候補で同じようなロア(伝承)を持っていた人としてはジョンFケネディー以来だと思います。ジョンFケネディーは第二次大戦でPTボートの艦長でしたが沈没して九死に一生を得ます。
そういうエピソードのある政治家は「ここぞ」という緊迫した場面で、世間体を気にする必要が無いです。例えばジョンFケネディーの場合、キューバ・ミサイル危機という一触即発の事態に直面しましたが、あの時の大統領が若しビル・クリントンやジョージWブッシュだったら、「これを逃げたら、俺は国民から根性の無い奴だと言われるかな」という外見上のかっこ悪さを先ず気にして、虚勢を張ったに違いありません。ケネディーはそういう取り繕う必要は全く無かった。だからキューバ・ミサイル危機を回避できたのです。
歴史を紐解けば筋金入りの軍人だけが戦争を回避できるという例は極めて多いです。
その最たるものは鋼鉄宰相ビスマルクでしょう。ビスマルクはドイツに強い軍隊を維持し、好戦的でアグレッシブなイメージを常に醸し出して周囲の国を恐恐とさせましたが、実は大きな戦争は一回もしていない。彼が宰相を勤めた期間というのはドイツが一番平和だった時期と一致しています。
またキャンプ・デービッドで初めてイスラエルとアラブが握手をしたときのおのおのの国のリーダー、つまりイスラエルのベギンとエジプトのサダトは何れも大変強硬で好戦的なリーダーと看做されており、彼らの愛国心や軍歴に疑問を挟む国民は居ません。サダトは(イスラエルと仲直りしたら、俺はたぶん、暗殺される。でもいいじゃないか?、それで国民が幸せに暮らせれば。)という思いで「アラブ社会を裏切り」イスラエルと国交を回復し、案の定、暗殺されました。でもこのときに出来た、イスラエルとエジプトのコミュニケーション・チャンネルは今でも重要な国際政治のツールとして生きています。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

タックネームというものですね。自衛隊のパイロット達も持っています。
日本版でも「まーべりっく」と呼ばれていました。

広瀬隆雄 さんのコメント...

匿名さん

そうですか、教えていただいてありがとうございます。