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2008年9月8日月曜日

「商い中です!」 ファニーメイ、フレディマックは政府の管轄化へ

ファニーメイ(ティッカー:FNM)とフレディマック(FRE)が政府に接収されることが決まりました。これらの企業は今後、連邦住宅金融局(FHFA)の管轄下に置かれます。また連邦政府はファニーメイとフレディマックの発行したモーゲージ抵当証券を市場で買い上げ、住宅ローンを組もうとする国民の金利負担を軽減すると発表しました。これにより現在6%を超えている住宅ローン金利は今後少し下がることも予想されます。ゆくゆくはファニーメイとフレディマックの保有ないし保証する住宅ローンならびにモーゲージ抵当証券を大幅に削減する意向だけれど、どういうタイミングでそれを行うかについては議会ならびに次の政権が決めることだとしています。

両社の普通株配当、優先株配当は即時停止します。これにより20億ドルが浮きます。また10億ドルの新規の優先株をおのおのの企業が発行し、これを政府が購入することで自己資本を補強します。これらの新発優先株には10%の配当がつき、なおかつ将来、限りなく$0に近い値段で両社の議決権の79.9%を支配するワラントが付けられます。これとは別に政府はそれぞれの企業が今後発行する優先株を必要に応じて1企業につき1000億ドル程度まで買い上げる準備があるとしています。

また、2009年末におけるそれぞれの企業の住宅ローン関連ポートフォリオを8500億ドルに制限し、以降、毎年そのポートフォリオを10%程度削減、究極的には2500億ドルまで下げるという計画を持っています。但し、この計画に関しては議会と時期政権の承認を必要とします

今回の一連の措置が市場に発しようとしているシグナルは「We are open for business.」つまり「商い中ですよ!」という事です。

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【寸評】

今回の措置は米国民が引き続き住宅ローンを組み、家を購入できることを最優先に考えた処置です。

これは良い判断だと思いました。

次に政府は必要に応じてどんどんファニーメイならびにフレディマックを支援することが明快に示されているけど、財務、財政上の政府のライアビリティー(責務)はわざとぼかしてある気がします。これもドル保全という見地からは深慮された措置です。

さらに将来、ファニーメイ、フレディマックの住宅ローン市場における役割を大幅に削減するプランが示されているため、関連証券の需給関係には良い材料です。但し、このプランの実行には将来の議会、次期政権の判断次第という形で下駄を預けてあるため、「どうしてもそうしないといけない」という義務はありません。これは急激な信用の緊縮の可能性を和らげるためにわざとぼかしたのだと思います。


どこから見てもヘッジファンドなどから隙をつけこまれない、よく練られたプランだと思いました。

7 件のコメント:

mm さんのコメント...

絶妙なタイミングでの発表だったのかなと思います。緊急利下げもそうでしたが、どこかの国と違い、アメリカの対応は早いなと思います。

今朝為替はかなり戻していますので、マーケットはかなりこのニュースを好感していることがわかりますが、ここからマーケットは先週を底に戻してゆくとお考えでしょうか?

それとも、すぐに戻り売りにあって、やはりまだ1月くらいはぐずぐずし、10月こつん説でしょうか?
先週、今後の下落に備え、結構売却したので、やや早まったかなと思っています。

踏み上げ太郎 さんのコメント...

mmさん

コメントありがとうございます。
今週は小さな反発があってもおかしくないと思います。ただ、鉄鋼などの景気敏感株については秋から冬にかけてニュースがどんどん悪くなると予想されますから高いところは外しにかかったほうが良いでしょうね。

ファニーメイ、フレディマックの株は場合によってはNYSEの上場基準に抵触するようなケースが将来出て、上場廃止になる可能性もあります。政府としては早くこの両社の上場を取りやめたいと考えている筈です。

若しその関係でファニーメイとフレディマックの株が暴落しても、それは「予定通り」のシナリオですから、慌てて他の金融株とか投げない方が良いでしょう。

今はポートフォリオをディフェンシブなシフトに入れ替えるのにちょうどいいタイミングだと思います。

「ほっと一安心」の買いが途切れれば、また煮え切らない相場になります。

10月末頃、アメリカの住宅価格がもう下がらないという事が確認されるでしょうから、そこで大きな勝負に出ようと考えています。

ただ、住宅価格が「こつん」と来ても、そこから盛大な反発は期待しようもありません。なぜならファニーメイとフレディマックにはどうやら「総量規制」に縛られることになりそうですから。

あとは「日本型」の長期不況を回避するためには米国民のアニマル・スピリットの鼓舞が鍵になります。これは実は余り心配していません。11月は大統領選挙でヤングパワーが炸裂すると思うからです。

TK さんのコメント...

今回の措置により、アメリカの財政が多少なりとも悪化する結果となるので、米国債の供給増から米国債の価格は下落する方向にあると考えた方が良いのでしょうか?
また、株高から逃避買いの縮小という側面からも、米国債の価格は下落方向にあると判断しているんですが。

踏み上げ太郎 さんのコメント...

tkさん

ご質問ありがとうございます。tkさんがご指摘されているようにただでさえ悪い米国の財政は更にこれで悪化します。

でも大事なことはグロース(=経済成長)が出せる体制になっているかどうかなのです。

例えばある友人が失業したとしますよね?すると家で落ち込んでいるその友人にtkさんならどういうアドバイスをしますか?。

「何か資格を取れば?」とか「新聞の求人広告に応募してごらんよ」とか、そういうアドバイスになると思うんです。

つまり我々個人だろうが、国家だろうが、収入(国家の場合は歳入)が無いと家でいじけて、出費を切り詰めているだけじゃ駄目なのです。

アメリカはその喩えで言えば「ハローワーク」にも足しげく通っているし、借金してまで専門学校に通っているし、求人広告にも目を通している、、、つまり利下げやファニーメイ救済などを通じて、やれることは全部やっているわけです。

翻って欧州などを見た場合、「やれることを全部やっている」と胸を張って言えますか?。ついこの初夏の頃まで利上げをやっていたような愚鈍なECBのことですから、今回の景気後退からEUが脱出できるのは少なくとも2年は先です。

株式投資はサッカーの1対1と同じです。ドリブルで相手を抜こうと思ったら、相手のどちらの足に体重がかかっているかをよく観察して、その逆を突いてフェイントをかけるわけでしょう?

その意味ではアメリカは既に「景気後退脱出型シフト」が出来ているわけです。

TK さんのコメント...

早速の回答ありがとうございます。

つまりアメリカは、短期的には財政的にマイナスな政策を実施するが、そのことにより景気を回復させ、将来の税収増=財政の改善を目論んでいる、そういう解釈ですね。

kevin さんのコメント...

確かに絶妙なタイミングだとおもいます。ただ、日本の銀行株の上昇率、GLBXの上げ方、UBSの10%高を見ると疑問におもってしまいます。FNMとFREを救済することはわかってたんじゃないの?と。それとも踏み上げさんのおっしゃるように救済スキームの精巧さが買われているのでしょうか?
それと、金曜の雇用統計はひとつもいい数字が無かったようにおもいます。6月は10万人減まで下方修正されてますが、木曜日に織り込んでた。。。ということで片付けちゃっていいのでしょうか?

踏み上げ太郎 さんのコメント...

kevinさん

日本の銀行株の上げ方は何か勘違いしている印象を受けますね。

僕にとっては「これでファニーメイと不レディマックの材料は株式市場にとっては材料では無くなったな」というくらいの気持ちです。

これからは如何に成長を導き出してくるか?それが最重要の問題になります。

別の言い方をすればクレジット(信用)の問題は当分、メインで無くなるということ。

雇用統計は確かに悪かったですけど、僕はこの数字は重視しません。その理由は:

1.雇用統計は遅行指標であり、そんなもの見ながら株を売り買いしていたら、必ず間違えるから(=株は先行指標)

2.現在の雇用統計は金曜日の「ひどい」数字をもってしても、過去の米国の雇用のレンジの中にしっかり納まっており、「未曾有の出来事」などでは決して無いこと

によります。