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2008年10月12日日曜日

空売り規制解除、銀行への公的資金注入、大型株の投売り




先週の相場をとりわけ厳しいものにしたひとつの理由は銀行への公的資金注入のイニシアチブが折り悪く空売り規制解除とほぼ同じタイミングで喧伝されたことにあると思います。
銀行への公的資金注入そのものが投資家のパニックを鎮め、銀行経営の安定化を図る心算で考案されていることはまちがいありません。
しかし公的資金の注入は「どの水準で実行されるべきか?」という問題を孕んでいます。
空売り筋はこのニュースをみて「そうか、じゃあ銀行株や証券株は下がるんだな」という風に理解し、モルガン・スタンレー(MS)などに安心してショートを振りました。
また、不良債権を買い上げるリバース・オークションが「後回しにされる」という懸念から、「それじゃ、今、投げ出せるものは何でも処分しよう!」という結論になり、プロクター&ギャンブル(PG)マクドナルド(MCD)など、およそサブプライム問題からいちばん遠いところにある株もバンバン売られてしまったのです。
本当は政府がリバース・オークションを後回しにしているという事はありません。ただリバース・オークションを始めるための準備には数週間かかってしまうのです。
そこへゆくと政府が窮地に陥った銀行の割り当て増資に応ずるのは2日もあれば出来てしまいます。
この事務手続き上の時間差が「命取り」になって傷口を広げてしまった気がします。
PS:なお日本の証券関係者は「公的資金の注入は政治的なハードルが高いから実現は難しい」と見ている方が多いですが、これは間違っています。先日成立した金融安定化法に政府が銀行の株式を取得できることは既に盛り込まれています。また、英国が870億ドルを投じて銀行の株式を直接取得すると既に発表したこともあり、「先例」が出来たわけです。このことからも有権者からの反対は無いと思います。

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

あまりにトピックと違うことで申し訳ないのですが(いつもですね…)
踏み上げさんに影響を受けて
バイオについて色々見ているんですが
日本で(マザーズ)4974:タカラバイオという会社があるのですが、マツタケ人工栽培、白血病の遺伝子治療、エイズ遺伝子治療などを手がけててさらに、今回ノーベル賞をとった下村さんのいる米国クロンテック社=タカラバイオが2年前に買収して子会社化等なかなかの勢いを感じます。
今月17日に重大発表をすると発表しています。主戦場でない日本企業で申し訳ありませんがもしよかったら見て感想でもください。
http://www.takara-bio.co.jp/

次にくるバブルは本当にバイオかもしれないなぁと最近思っています。

匿名 さんのコメント...

毎回エントリーの更新を楽しみにしております。

機関投資家、投信ファンドマネージャーの行動について興味が有るので御意見をお聞かせ願えますでしょうか。

よく彼らは遅れて買って最後に売ると言われますが、今回のような解約ラッシュの投げ売りの後はどう行動するでしょう。

セクターファンドのマネージャーは今まで成績の良かった株をまた買い足すのか、それとも銘柄の入れ替えを試みるかで個別銘柄の短期的な戻り値幅に差がつくと思い、銘柄選びの参考にしたいと考えてはいますが、素人の想像では成績の良かった株を買い足すしか思いつきません。

宜しくお願いします。

匿名 さんのコメント...

> 不良債権を買い上げるリバース・
> オークションが「後回しにされる」と
> いう懸念から、「それじゃ、今、
> 投げ出せるものは何でも処分しよう!」
> という結論になり、プロクター&
> ギャンブル(PG)やマクドナルド
> (MCD)など、およそサブプライム
> 問題からいちばん遠いところにある株も
> バンバン売られてしまったのです。
この部分で、懸念と何でも処分!、のつながりがあまり理解できませんでした。もう少し噛み砕いていただけますでしょうか。

匿名 さんのコメント...

公的資金注入に対する障害は、むしろ注入を受ける金融機関、特にその経営者に有るでしょうね。英国の場合でも、注入計画発表のあとに責任追及を恐れる金融機関側から不要論が出ていました。米国でもここまで事態が悪化すると有権者の反対論はそれほどでないでしょうね。
ただし、公的資金注入しなければいけない事態まで悪化させた金融機関の経営者に対してきっちりと責任をとらせるならです。それを躊躇するなら、相当紛糾すると思います。現財務長官もその対象になる可能性さえあります。
あと、国債まで換金売りの対象になっている現状、原資をどう確保するかですね。国債市場が崩壊すれば、すべてが終わりますから。

匿名 さんのコメント...

>現財務長官もその対象になる可能性さえあります。

私は、米金融界が、これからも米国民から承認されるためには、彼が血祭りに上げられるかどうかにかかっていると思います。

『サブプライム等の鉄火場では、失敗すれば当然失脚するが、うまく立ち回れば勝ち逃げできる』

これで、国民が納得するとは思えない。
『リスクをとりすぎて、国家財政に多大な影響を与えるほどレバレッジをかけた奴は、全員逮捕』でないと。

当然、今は有意義に働いてますが、今回の一番の火事場泥棒は、逮捕されてしかるべき。

前回の住宅バブルと、同じく後付の厳罰が処されるべきと考えます