先週書いたエントリーのフォロー・アップです。
結局モルガン・スタンレー(MS)の株は$9.68で先週の取引を終えています。
10ドル割れ。
ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えるように現在のモルスタの時価総額は103億ドルに過ぎません。
僕の考えでは三菱UFJグループが当初合意した90億ドルを出資して、21%の株式しか支配できないというのは三菱UFJファイナンシャル・グループの株主の株主利益を無視した行為であるという批判が免れない状況だと思います。
問題はモルガン・スタンレーの抱えている債務がどれだけ大きいのかという事を三菱UFJ側がちゃんと把握出来ているか?ということに掛かっている気がします。
例えば先週金曜日の立会いでは20億ドル相当の商いが10ドルを挟んだ前後で成立しています。これは三菱UFJが合意した値段の半分以下の水準であり、これだけ沢山の投資家が自信を持って10ドル程度という水準でこの株を売ったり、買ったりしているということは、残念ながらモルスタのフェア・バリューは三菱UFJとモルスタが合意した時点のときのそれより、もうずっと下にシフトしてしまっていると考えるのが自然です。
さらに現実問題として三菱UFJがモルスタに投ずる90億ドルが「焼け石に水」だったら、、、一体、その後どうなる?という問題があります。これは深刻で、且つ、切羽詰った命題であり、三菱UFJがモルスタに資金を注入した直後にやっぱりそれでも足らず、モルスタがアメリカ政府に泣き付き、公的資金の注入を受けるという可能性も実は高いはず。 つまり三菱UFJの投資が瞬時にして大幅に希釈化されてしまうリスクがあるということです。
そういう事を考えれば、21%という三菱UFJの支配権は余りにも不十分過ぎます。モルスタに出資するというのは悪い試みではありませんが、三菱UFJ側は自分の取るリスクに見合った代償(=つまり過半数支配権)を要求すべきです。
(ないしは米国法に基づく「連結対象」にするのがイヤなら、出資額を半減するというのも決して卑怯でも恥ずかしくも無い、勇気ある行動だと思います。)
2008年10月12日日曜日
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2 件のコメント:
踏み上げさん、
こちらも楽しみに読ませていただいています。このモルスタ問題については、僕も全く同感です。普通だったら、これだけの規模の資金注入はdilutionの心配の前に、まず「買い」なんですけど、ご指摘のように政府の資本注入がいつでも出来てしまうので、一般投資家は実は怖くて買いにいけないのです。資本注入後の株下落の恐怖は皆FNMやFREで経験済みですからね(^^;。
メリルの公募の際に明らかになったように、これだけの資金を投入する三菱側としては、当然に株価修正条項(MSCB型。あももちろんMorgan Stanley Claw Backの略ではありませんので(笑))とか、株価がxx%以上下落するなど尋常でない状態が生じたら条件を見直すなどのMack、もとい、MAC(material adverse change)条項などを入れてるとおもうんですよね。(そうじゃないとあまりにトロい経営者だと言うしかないですけど)。
払い込み金額の変更(減額)や払い込みの延期は、週明けのモルスタ株の暴落を生むでしょうから、この週末、今頃も必死こいて最後の条件交渉してるんじゃないでしょうか。
金額は同額。優先株の金額を増やして(ただし普通株転換行使価格は見直しで12ドルくらいに設定)、20%普通株は維持するか、踏み上げ太郎さんのおっしゃるように51%まで踏み込むか。でもその際は、当然政府の資本注入のdilution riskに対する担保条項は入れさせるとおもいます。
場所はFEDか財務省の一室、メインルームはポールソン、バーナンキ、ジョン・マック、畔柳社長、二つの控え室に双方のM&A部隊と弁護士・公認会計士。TVドラマ見すぎですかねー(^^)。あ、でも財務省のアドバイザーは誰がやるんだろう?やっぱGS?なんかシャレになりませんねー。。。
日本人として今回の事は快挙だと思っていますし、MUFGの劣後債ホルダーとしても、ぜひとも応援したい案件ではありますが、余りに事態が急変してますよね・・・
逆に言えば、半値で売られていた商品が、更に8掛け2割引になっているようなもんなので(もっとすごいけど)、この状況を上手く生かして欲しいものです。
また日本人は、お人好しの高値つかみだなんて思われないように・・・
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