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2008年10月12日日曜日

「騎士道精神からやっていることだ」とハッキリ宣言してしまえば良い


ポジティブ・ガンマさん、初心者さん、
コメントありがとうございます。
ひとつ前の三菱UFJ-モルガン・スタンレーに関するエントリーの続きですが、逆に三菱UFJ側が当初の交渉条件を遵守することの徳というものも、当然、存在すると思います。
それは「紳士が一度こういう条件で約束事をすると決めたら、状況が不利になっても自分の言葉をカンタンに翻したりは、しない」という気持ちから出ているに違いありません。
言わば騎士道精神に則った行為なわけです。
ここで騎士道精神を発揮すればアメリカの財務省に対しても日本の銀行界は大いに恩を売れます。
また、忠誠を立てる相手としてのモルガン・スタンレーは(仮にそれが「腐った鯛」だとしても)金融の世界の頂点に君臨する最高のブランド・ネームのひとつなわけですから、相手に不足はありません。
ただ、今回の世界の金融界の大混乱の渦中にあって、日本の銀行が世界の金融機関を支援する側に回れる立場になったのは、単に日本の銀行の経営者のここ数年の経営判断が良かったからだという事だけでは無いのです。日本の銀行は昔からコア・デポジット(小口預金)比率が世界的に見ても極めて高く、それが今回のように「銀行同士が疑心暗鬼でお金を融通し合わない」異常事態に於いて、岩盤の安定感を与えていることが、やはり大きいと思うのです。
これは突き詰めて言えば日本の預金者、つまり国民ひとりひとりのお金であり、またチャリンコの後ろに弁当箱のような集金箱をくくり付けて預金を集めて回った日本の銀行マン達の努力の結果なのです。
つまり三菱UFJは日本の預金者や投資家から寄せられたコンフィデンス(信頼)の集大成をモルガン・スタンレーという相手に照射し、モルガンを救おうとしているわけですから、せめて「俺たちは騎士道精神からこれをやっているんだ!」くらいのプレス・リリースを出して大見得切るぐらいのことはやるべきです。

16 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

先日はレスありがとうございました
僕がエントリーに関係なく、コメントしたために少し話がかみ合っていなかったと思います
申し訳ありませんでした
広瀬さんが楽天証券のレポートで書かれている70年代と今を比較すると、を僕のBlogに引用させて頂きたいと思いますので、ご了承頂きたく存じます
最近、広瀬さんは株価下落、不動産価格下落のデフレに言及しておられます
僕も基本はこの考えに同意なのですが、これだけドル紙幣をバンバン印刷する施策を見るにつけ、インフレを想定しない訳には行きません
おりしも現代版"株式の死"ではないかといわれている中、PERなどの尺度は当時に合わせた方が良いかも知れません

最後に本エントリーについては、それならば一民間銀行がやることではありません。国がやるべきことです。もし、こうした経済合理性を踏まえれば愚行としか言えない行為を一民間企業に認めるなら、それは社会科学としての現代経済学の否定ではないですかね
その現代経済学、と言いますかその基本概念の上に立つ、均衡への回帰モデルを否定することになるのでは・・・
理論の良いトコどりはよろしくないですね

匿名 さんのコメント...

三菱UFJにも株主がいますので、経営陣としては、騎士道精神で済む問題ではないと思います。もちろん、広瀬さんは、レトリックとして使っておられるわけで、本意は、前エントリーに書かれたところにあるのだと思いますが。

日本の金融危機時に、外資が取った行動と同じ位の注意深さ・リスクリターンの計算をもって、三菱UFJには、このチャンスをものにし欲しいと、一日本人として思いますね。

当時のGSによる三井住友FGへの出資などを参考にすればよいのではないかと。三井住友FGからすれば、不利な条件だったかもしれませんが、資本を入れてくれた事に対しては、三井住友側は感謝しているでしょうし、現に三井住友とGSの友好関係はその後も続いています。

きつい条件に変更しても、この存亡の危機に於いて、巨額の資本を入れてくれる事に対するMS側の感謝は変わらないと思います。

広瀬隆雄 さんのコメント...

rom人さん


コメントありがとうございます。

引用とかトラックバックをする際にいちいち断って頂かなくてもOKです。

匿名 さんのコメント...

アメリカ人は、金になればすぐに手のひらを返しますから、そんな騎士道精神など無用じゃありませんか。 騎士道なんてヨーロッパの家系ならともかく、アメリカの尺度は金になるのか、ならないのかだけで精神的な美徳など理解できないと思います。 ルールなんてあってないようなもので金になれば平気でイカサマをしますし、それよりも騎士道精神があるならイラクから早く撤兵して欲しいですよ。

匿名 さんのコメント...

裏ではちゃんと実利を追求しながらも表では騎士道精神だと大見得を切ってしまって恥じるところがないのがアメリカ流だと思うのです。。。プロの方々の目には「よく恥ずかしげもなくそんな事いいよる」と映っても私のような素人は簡単に騙せますよ。

匿名 さんのコメント...

「アメリカ合衆国は偉大な国であったしこれからも偉大であるべきである。我々はモルガンを買うことで偉大なアメリカの未来に投資する。」
みたいな言い方をするとアメリカ人は意気に感じてくれるでしょう。

匿名 さんのコメント...

せめて野村のように、MSが破産するのを待って買収すればよかったのに、MUFGはノロマですね。

匿名 さんのコメント...

騎士道精神ですか・・・
なるほど、それも「あり」ですね。
私は米国人とお付き合いした事がないので、どれほど意気に感じてもらえるのか分かりませんが、もしそれで提携後奮闘してもらえるのなら、結果として安い買い物になりますね。

匿名 さんのコメント...

いいですねぇ、このエントリー。

交渉事なのですから、相手の価値観にばかり合わせる必要もない。自分の価値観を示すこともアリじゃないでしょうか。
長銀を10億円+瑕疵担保で買ったファンドもあれば、長期的な信頼関係を重視した契約もあるでしょう。今の株価を前提に買い叩けば前者、今は異常だと判断すれば後者かな?

トヨタが三井の恩を忘れなかったように、MSも忘れないかも。ないとは言えない。
ただし、「甘いやつだ」と思われないように条件はきっちりとつけておくべきでしょうが、三菱にその手の不安は不要でしょうw

疑問なのは、三菱とMSの企業文化が果たして折り合いがつくのか、なのです。

匿名 さんのコメント...

広瀬さんの記事はいつもユニークな視点が多く非常に自分の思考の範囲が広がります。三菱UFJの行為が吉と出るか凶と出るかはある意味「冒険」かもしれません。

ところで昨今の大暴落ですが、これを機に私も米国株漁りを始めて金曜日にはいくつかの会社を買っています。2点、ぜひとも広瀬さんの意見を聞いてみたいことがあるのですが、いいでしょうか。

1)日本から米国株を買う際、当然、円からドルへ変えての投資になりますが、よく考えてみればドル安が進んでいけば米国株を買う以前にドルがどれくらい安くなるのかが別のリスクとして大きく浮上します。このドル安リスクについては、広瀬さんはどのように思いますか? ドルが70円くらいになるようだと、さすがに米国株を買う以前に問題が大きすぎると思います。

2)AIGは国有化されましたが、まだ株は買えると思います。政府保証なのでつぶれないし、今はメタメタに売り込まれて底値にあると思います。これを拾うことに問題はありますか?


以上、為替(円高ドル安)については、ぜひともご意見をお聞きしたいところではあります。

以上、よろしくお願い致します。

匿名 さんのコメント...

踏み上げさん、甘いですよ。日本の銀行システムは脆弱です。世界の健全度ランキングで93位です。
ttp://www.weforum.org/documents/GCR0809/index.html
政治家や評論家が大丈夫と強調するのは実はけっこうやばいからです。

税金も払わず、貸しはがしをするような銀行が騎士道なんて笑わしてくれます。裏取引(米国での営業権)があったんですよ。

投資銀行のビジネスモデルは終わってます。ありがたがってグッチのカバン買っているようなもんです。しかも親(株主、預金者)の目を盗んで。

匿名 さんのコメント...

nobinobiさんのコメントで、MTFGがUFJを破格の条件で買収した事を思い出しました。僅か数年前のことですよね。今回もあの時と同程度の「したたかさ」を発揮して欲しいですね。国内の同業者を買収する時はえげつなく買い叩いて、外国の会社を買収する時に「騎士道精神」では、日本国民(含・旧UFJ株主)の共感は得られにくいでしょう(笑)。

広瀬隆雄 さんのコメント...

皆さん

コメントありがとうございます。

三菱UFJの立場は、、、

実は追い詰められているというか、思いもしない展開で抜き差しなら無い状況に立たされているというのが「有り体」の形容だと思うのです。

当初の条件通りで90億ドルをすごすご出せば株主から叩かれるし、「やっぱり、やめます」と言ったとき、各方面から非難されるでしょう。

僕の考えではこの局面で「俺たちは騎士道精神でやっているんだ!」と宣言することはせめてもの保険だと考えているんです。

つまりそれは:

We are helping you, so, don't fuck us!

ということの主張に他ならないのです。

アメリカにはフェア、アンフェアという美意識があって、折角、三菱UFJがモルスタを助けようとしているのに、その三菱UFJと粗末に扱えば「自分達はアンフェアなことを相手に強いてる」という気持ちに苛まれます。

「騎士道」宣言をすれば米国政府をこのフェア、アンフェア論議に逆に追い詰めることが出来るわけで、今後予想されるダイリューティブな公的資金注入で三菱UFJの利益だけをカーヴ・アウトして守ってもらうためには芝居は大きく打った方が効果があります。

広瀬隆雄 さんのコメント...

nobinobiさん

コメントありがとうございます。
実はC銀行の危機のときは僕が勤めていた欧州の投資銀行が救済のメインになりました。

僕自身はぺエペエでしたからそのキャピタル・インジェクションには関わっていません。

ただそこへ至るまでの道のりで、「沈む船から家財道具を海に投げ出すような仕事」は担当しました。僕のセルサイドのキャリアで一番ストレスに満ちた時期でした。

匿名 さんのコメント...

僕、UFJがメインバンクなんで不安ですよ。住宅ローンもUFJで組んでるし……(;;)
不安ッス(;;)v

匿名 さんのコメント...

金曜のマーケットでダウが8000を切り、他の金融銘柄は真っ赤でしたが、C は、プラスをキープしていました。 何か理由があったのでしょうか? 午後3時過ぎから急騰しましたが、週明けへの期待感ですか? テクニカル的に見ると、まだ落ちそうですね。 日本にいると分かりませんが、アメリカの投資銀行、証券関係で働いているのは、白人の鼻持ちならない奴ばかりですよね。 日本以上に学歴偏重で、、、、、騎士道精神もいいですが、アメリカの白人特有の狡猾さと独特の薄情さがありますから。 うまく丸めこまれ取るものは取られてしまったということにならなければいいですが。