最近のマーケット環境が厳しいので少しでも楽観的な意見を言って間違うと(=これはしょっちゅうですが)皆さんから目の仇にされますが、懲りずにもうひとつ言わせてください。
これは以前にも何度か書いたことですけど、我々がいま生きている21世紀が「過去でいちばん国際化が進んでおり、世界との交易が盛んで、かつ資本の輸出が多い」という風に自分達の時代を特別なものだと考えすぎる風潮があると思います。
でも歴史を振り返れば1890年頃や1920年代も国際間の資本の移動は活発でした。1890年頃にはラテンアメリカ諸国は米国と同じくらい有望な新天地であると考えられており、ベアリング・ブラザーズがアルゼンチンへの融資で倒産しかかりました。
(緑で囲った時代は植民地ブームの時代を示しています。)
また1920年代の海外投資ブームは1929年のNY市場の大暴落の遠因を作りました。
このように国際間の資本取引が盛んになるとそれに応じて不安定要素も増すのです。翻って2003年くらいからの世界経済を見るとちょうど1世紀前の新大陸に相当するBRICsという新しい成長のエンジンが登場して、近年は再び国際間の資本取引は活発になっていました。
このような環境では自分の母国の市場だけを観察していても他の国で次々起こる出来事に翻弄されてしまい、「予定が狂う」ことが続出します。きょうこのごろで言えば、さしずめアメリカや欧州で起こっていることが理解できなければ日本だけ見ていてもマーケットの事は皆目わからないのです。
過去にこういう事態に直面したとき、例えば1929年のNY市場の大暴落では世界のそれぞれの国が内向きになってしまい、国際的な資本取引や物品の交易の門戸を閉ざしてしまいました。たぶん当時はそれが最善の処方だと考えられていたのでしょう。
その結果1930年代の大恐慌へと発展するわけです。
さて、こんにちの世界の政府の対応を見ると「あのときの過ちだけは犯したくない」という国際協力の態度が見られます。また、アメリカに関してはなりふり構わずFRBが市場に流動性を注入しています。欧州は米国よりちょっとタイミングが遅れて問題が深刻化したため対応はアメリカより少し遅れていますが、今後に注目したいと思います。
いずれにせよ1930年代の恐慌のときの対応と今回の対応とではだいぶ違うというのが僕の考え方です。
3 件のコメント:
協調利下げなど、日本を除く世界中が本腰を入れて取り組み始めたのは注目に値すると思っています。
G7明けに米欧で公的資金の注入が発表されて、来週から一気に市場の雰囲気がポジティヴに変わるような予感がしています。
一部ヘッジファンドの解約締め切りが今月中旬に設定されていることも今週の暴落の一因かと思います。
G7、期待できるでしょうか?
私も、銀行への資金注入(株価が2ドルになろうとも?)しないと解決しないのではないかと思います。
いくら利下げをしても、相手の信用がないためにお金を貸せないので、金利はめちゃめちゃ高くなるわけでしょう?
この異常事態を止めるにはそうするしかないのではないかと。
それをG7で決められるか、ですよね?
懸念を表明、状況を注視することで合意、なんてレベルで終わってさらに失望売りが出ないことを願います。
確か江戸時代の日本の飢饉も、各藩が関所を閉じて物流が滞ったからでした。
金の流れを閉じちゃったら恐慌になるのはむべなるかな。
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