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2009年1月10日土曜日

マイホームに関する個人破産法の手直しこそがサブプライム問題解決の唯一の方法だ


いよいよ始まる個人破産法の改正議論
価値が毀損した住宅ローン証券化商品をなんとか「ほぐす」ことがいろいろ試みられていますが、結局のところ全て上手く行っていません。ひとたびローンがオリジネーター(最初に融資した銀行)から他の業者に転売され、そのローンのサービス権(集金業務とそれを履行することにより得られる事務対価)が転売されてしまうと問題が生じた証券化商品を「よいところ」と「わるいところ」に分離して、よいところの価値だけをサルベージすることはもはや不可能なのです。
しかし入り口、つまり個々のローンの側からは「ローン完済」などのイベントが将来おこることは証券化商品がデザインされたときに既に設計の中に組み込まれています。すると住宅ローンに関する個人破産の法律を変更し、ローンが払えなくなっても差し押さえ出来ないようにして、競売案件が市場に出ないようにすることで需給関係がメチャクチャに壊れることを防ぐことは出来ます。
最終的にCOP(コングレッショナル・オーバーサイト・パネル)が目指しているのは、そういう法改正を下院に検討させることです。
銀行株ベア・マーケット 「Part 2」が来る
この件に関してシティ(C)は「そういう法案が出た場合、当行としてはそれを支持する」という立場を発表しました。明らかに銀行にとって不利なこの法案をシティが即座に支持するという、迎合的発言をしたのにはそれなりのわけがあります。
シティは去年倒産しかかってTARPの資金の注入を受けた際、FDICのシーラ・ベアから「ヴィクラムに勝手な真似はさせない」といろいろな条件を押し付けられています。そのクサビが打ち込まれている関係でいちばん発言権が弱い銀行になっているという風にも言えるでしょう。
若しマイホームに絡む個人破産法が改正されたら、ローンが払えなくても差し押さえ出来ないという特例適用には期限が付けられると思います。その場合、「駆け込み」の破産宣言が続出すると思われます。さて、「駆け込み破産」で毎月の住宅ローンの支払額がリスケジュールされる際、支払額を決めるのは裁判所になります。すると「無理なく返せるだけ、毎月返す」というその金額は裁判所が恣意的に決めてよいので、「この際、銀行を徹底的にギャフンと言わせるぞ!」という「復讐レート」が横行することが考えられるのです。
シティが慌てて「悪者銀行」ではなく、「良心的銀行」になろうと国民の歓心を買い始めているのは、そういう事情があるからです。
それから「駆け込み破産」が激増すれば銀行各行は否が応でも特損を計上しないといけなくなります。つまりアメリカの銀行株はこれからまた下がり始めるリスクがあるということです。
いずれにせよ今度大統領が変わればもうハンク・ポールセンもニール・カシュカリも過去の人。
次にウォッチすべきキー・パーソンはシーラ・ベアとリズ・ウォーレンです。

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