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2009年2月21日土曜日

アメリカ株の近況


人間希望を失っては生きてゆけません。
その意味で希望(Hope)を持つことは大いに重要なのですが、株式市場としては「こうなるといいな」、「政府が助けて呉れないかな」と期待を抱くことだけでは不十分です。
アメリカ人が好んで使う格言に次のようなものがあります:

Hope is not a strategy.

先週ほどアメリカの投資家がこの言葉の意味を噛みしめたことはなかったと思います。

オバマが大統領になったことで次々に現在の苦境を脱するための政策が打ち出されるのではないかと淡い期待を抱いた投資家はことごとく裏切られました。その極めつけはティム・ガイトナー財務長官のスピーチで、「あれは殆んどHaiku(俳句)の世界だ」と評されました。

そんなわけで株式市場は文字通り「ベア・マーケットは希望の坂を転がり落ちる」という展開になったわけです。

ビスポークによればオバマ大統領が就任してからの最初の1ヶ月の株式市場のパフォーマンスは▼7.34%で、これは1900年以来の歴代大統領の中で2番目に悪い数字だそうです。(最下位はニクソンがウォーターゲート事件で辞任した後を受け継いだジェラルド・フォード大統領、、、これは大統領交代時の事情から言って全部フォードの責任だとは言えません。)

先週の「句会」の後、ティム・ガイトナー財務長官は「MIA(Missing in action)=作戦行動中行方不明者」になっています(もちろんどこかに篭って「バッドバンク構想」を詰める作業をやってくれているのだと思いますけど)。
ポール・ボルカーは「今回の世界経済の悪化のペースは1930年代の大恐慌の時より悪い」とコメントしました。
CNBCとホワイトハウスの間での「戦争」はそういうムードの中で勃発したのです。オバマは大統領選挙の期間中はインターネットなどの新しいメディアを巧みに使って選挙戦を展開しましたが、今回は逆にYoutubeのヒット数を息を詰めて見守る守勢に立たされています。(たぶんホワイトハウスの報道官は余りにオバマ政権が醸し出そうとするイメージと違う男なので最初に「飛ぶ」と思います。)
CNBCのリック・サンテリの「ボストン茶会事件」宣言はホワイトハウスが世論におもねり、優柔不断で具体的なプランが出せないことに対する攻撃をかわすため、魔女狩り的にウォール街を糾弾することでお茶を濁そうとしていることに対して「ぶち切れた」瞬間だったのです。

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