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2009年4月3日金曜日

イノベーション・サイクルが上向き始めている

どちらを向いても不景気な話の多い今日この頃、世の中つまんない事ばかりかと言えば、そんなことはありません。次の大きなイノベーションの息吹き、メガ・トレンドの始まり、、、そんなものを感じさせる処もあるのです。それは僕の地元のシリコンバレーです。

最近、シリコンバレーの空気に何かワクワクさせるものを感じるし、地面から湧き上がってくるようなビジネス・オポチュニティーの蠢動を覚えます。

そう言うと「一体、どこがエキサイティングなんだ?現にハイテクはメチャクチャ景気がわるいじゃないか!」と読者の皆さんからお叱りを受けそうですね。

そうです。確かにハイテク・セクターの景気は悪いです。僕が言っているのはそういう足元の業績の話ではなく、イノベーションのヴェロシティーが高まりつつあるということです。

1996年頃のシリコンバレーはインターネット・ブーム初期で、まいにち見るもの、聞くものが新しい驚きに満ちていました。

ところが2000年くらいまでにはイノベーションが出尽くしてしまい、自分の知らないこと、わからないことが無くなってしまったのです。

株式のバリュエーションは新しいもの、未知のものには過大な評価が、既知ものになるほどシビアな評価がつくものです。

そういう意味ではもうかれこれ10年近く、シリコンバレーは駄目だった、、、

ところが最近は自分の知らないこと、「へえーっ!」と思わず感嘆してしまうような奇想天外なアイデアがまた加速度的に増えていると感じるのです。

たとえばシマンテック・ウエブという概念があります。シマンテックとはsemanticsからきており、それはsyntax、つまり「構文」ということです。「インターネットが情報の文脈を理解する」というのがシマンテック・ウエブなのです。

グーグルは検索の際、単語を入力するとそれに対する検索結果を打ち返してきますが、自分の探していたものがすぐに見つかる場合もあれば、見当はずれな答えしか返ってこない場合もあります。見当はずれな答えが返ってくる理由は多くの場合、グーグルの検索エンジンが「この質問はどういう文脈でなされたのか?」ということを認知していないからです。

例えば携帯電話から「レストラン」というクエリーがなされた場合、若し検索エンジンがその携帯電話の場所を認知出来れば質問者の居る場所の近くのレストランのリストを打ち返すことができるわけです。

この例だと携帯電話のロケーションの情報とクエリーというサーチ情報がかけ合わせられることでmeaning、つまり「意味のある」ないし「質問者の意を汲んだ」答えを返すことが可能になったわけです。

この場合、携帯電話のロケーションというのはひとつのデータであり、クエリーは別のデータです。だから2つのデータが共有されることでクエリー精度が高まったと理解出来ます。

これからのインターネットはこの例のようにデータをシェアすることでどんどんrelevanceを増してゆくのです。するとコンピュータだけでなく、我々が普段使ったり消費したりするモノにもRDF(リソース・ディスクリプション・フレームワーク)という形でインテリジェンスを埋め込めばネットの利便性は格段に向上します。

ウエブ3.0が時としてThe Internet of Things(モノのインターネット)と呼ばれるのはこのためです。

別の角度から同じことを言い直せば、インターネットはもともと独立したコンピュータ同士をつないだものでした。これがウエブ1.0です。いまでは「コンピュータ同士がコミュニケートする」ということは当たり前だと思われていますが、これが最初に可能になったときの衝撃は大きかったです。

これに対してモノにRDFを埋め込むことで、そのモノの来歴を知り、在庫管理をしやすくし、コンプライアンスや商品の差別化をするのが新しいウエブの使い方なのです。つまりモノとヒトがインターネットを通じてコミュニケートする、これが次なる衝撃なのです。

これまでのインターネットは主に「書面」での能率向上に寄与してきました。でも何もドキュメントを扱うだけがインターネットではないのです。「モノのインターネット」の登場は人間の生活の仕方に大きな影響を与えると思います。

同時にそれはデータ・センターに新しい負荷が加わることを意味し、マイクロチップや移動コミュニケーション・デバイスへの新しい需要を意味します。つまりハイテクのfood chain全体に新しい需要が加わることを意味するのです。

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