いまは世界の景気がとても悪いので、企業としては儲けられなくても仕方ないと思います。
でも、野村の今回の歴史的な赤字の内容を見るとマクロ経済の暗転がもたらした不運が問題なのではなく、損の大部分は経営判断の誤りからもたらされていることがわかります。
まず去年リーマンが破たんしたとき、そのオペレーションの一部を買収したのは明らかに失敗でした。(大体、この厳しいご時世に人件費が去年に比べて2倍になっている金融機関は世界広しといえども野村くらいです。これはアメリカでも大いに失笑を買っており、僕はアメリカの友人からこれを突っ込まれたとき、涙が出るくらいくやしかった。MadameButcherのツイッター・コメントにあったリンクをご覧あれ。)
トレーディング損というのは聞こえがいいですけど、中身は「ねずみ講」のバーニー・メードフの詐欺にひっかかっていたり、明らかに危険だとわかっていたアイスランドの金融危機に巻き込まれたりしているのが原因です。
野村の中にはまじめに一生懸命がんばっている社員も沢山居るとおもうけど、いきなりリーマンの社員にボーナスを弾んでチヤホヤしたりとか、そういうのを見せられるとプロパーでやってきた人は萎えると思うのです。
チャック・グラスレー上院議員は「日本人には美意識がある」と言いましたが、一体、日本人の美意識はどこへいったのでしょうか?
3 件のコメント:
野村には焦りがありますかね?だいたいいつまでたっても何も変われない(それは弊社も同じですが)中で、世界の金融プレーヤーが大きく変わって(しかも、今回の失敗があったとしても「ストラクチャードファイナンスこそ進むべき道」(ピムコ、エラリアン))いるわけで、、、、、、
小生も含めて、日本金融業界人、この20年の凋落であせりのようなものは間違いなくあるのでは。
野村と三菱UFJ。いずれの道が正しかったのか?
mikeexpoさん
コメントありがとうございます。
野村はやっぱり日本でNo.1の証券会社ですから凄い人材は揃っています。
でも最近の野村のやっていることは株に喩えれば:
「野村の社員」を空売りして
「リーマンやフォートレス」をロングする
ような愚かなことです。僕は外資が長かったので良く分かるのですが外資は自分が今後もずっと儲けられると確信している間はゼッタイにその分け前を日本の金融機関と分かち合うような真似はしません。「そろそろ花も散る頃だな」と感じたときだけ日本の資金を受け入れます。
そういう風にトランプのババを掴まされることを英語ではbaggedと言いますけど、最近、野村はそういう同じ間違いを何度も繰り返しています。
まず自社の社員の能力を信じ、「日の丸部隊」で戦う腹を決めないことには士気もへちまもありません。
(おなじ事は今シティの日本のオペレーションというdamaged goodsを買おうとしている金融機関にも言えると思います。)
旧リーマンのアセット(もちろんそれに伴う負債も)を継承しない、という野村の戦略は、当時は安全策にも見えた訳ですが・・・
現実には、北米部門を買収したバークレイズが、買収取引自体から巨額の利益を上げている(安く買ったという事でしょう)のとは、正反対の結果になっていますね。渡部社長と、"国際派"で鳴らしてきた柴田副社長の責任問題である事は間違いないでしょう。
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