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2009年5月7日木曜日

アジアインフォ(ASIA) 中国の3Gインフラ建設で恩恵を受ける


アジアインフォ(ティッカー:ASIA)は電話会社に請求書ソフトウエア(BSS)やCRMシステムを納入している会社です。
中国の携帯電話事業はこれまで中国移動(チャイナ・モバイル:CHL)の一人勝ちでした。中国政府は「これではいけない」ということで全部で4社あった電話会社を3社に統合しました。より強い競争相手を創ることで競争を促し一段とサービスの向上や低価格を実現することが狙いです。
このためチャイナ・ユニコムとチャイナ・テレコムにはより大きな経営リソースが割り当てられ、これらの企業は今、携帯事業を重点的に拡充しています。3Gに対する投資も積極的に行われています。
こうした「国策」でたぶん最も恩恵を蒙る業者のひとつがアジアインフォだと思います。もちろん通信機器の会社も恩恵を蒙るのですが、通信機器のビジネスはベンダーの数が多いし、国内、海外に有力な企業が沢山あり、競争は熾烈です。これに対してアジアインフォは個々の携帯加入者がどれだけ通話したかを記録し、請求書を作成するソフトウエアを作っています。
請求書ソフトウエアは比較的複雑で、なおかつ一度採用されるとなかなか業者を指定替えすることは出来ません。また中国の場合、中国語の関係で「ダブル・コーデッド」、つまりより複雑なソフトウエアが必要となります。また極めて重要なソフトウエアなので海外のベンダーを使いたくないという安全保障上の配慮もあります。そんなわけでこのビジネスは競争は余りありません。
問題は最初に電話会社の基礎システムにうまく潜り込めなければ、いつまでたっても商売を増やすことができないという点にあります。
その意味で今回の中国の通信事業の大改革は「棚からぼた餅」的なビッグ・チャンスをアジアインフォにもたらしました。
これまで専ら中国移動と商売してきた同社は既にチャイナ・ユニコムとも、チャイナ・テレコムとも商売をすることが決まっています。つまりビッグ3を総ナメしているわけです。また、それぞれの会社が中央でシステムをやり直すと、地方の子会社(リージョナル・カンパニー)も順次請求書ソフトウエアをアップグレードする必要が出てきます。これはおのおのの地方会社の判断で徐々にアップグレードが実行されると思われます。請求書システムの統合は普通何年もかけて実施されるものであり、少なくとも向こう2から3年くらいは高水準の引き合いがあると考えるべきではないでしょうか?
最近発表された決算では通信ソフトウエア部門の売上高は前年同期比+39%成長でした。顧客別ではチャイナ・モバイルが総売り上げの66%、チャイナ・テレコムが9%、チャイナ・ユニコムが17%です。また営業利益は+58%成長でした。

同社のDSO(売掛金回収に必要となる日数)は100日と少し多いですが、これは通信関連というビジネスの性格からしてとりわけ目くじら立てる必要はないと思います。今回の決算では在庫がドンと跳ね上がっているのですが、これはIBMのリセラーという同社の立場から、既に納品が決まった商品を一時預かっているためです。この在庫の維持のためにアジアインフォ自体がワーキング・キャピタルを提供しているということはありません。繰り延べ売上高は4800万ドルです。
なおアジアインフォのCFDは ひまわり証券SVC證券の2社で扱いがあります。

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