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2009年5月19日火曜日

変化を受け入れるのは、楽じゃない







いちばん上の写真は『タワー・レコード』です。
このスライドは1月に僕が初めてCFDのセミナーをやったときに冒頭でお見せしたものです。
『タワー・レコード』はなぜ倒産したのか?
それはアイチューンの登場が録音された音楽の消費のされ方を根本的に変えてしまったからです。
実は或るCFDの業者の方から最初に連絡をもらってから、半年近く僕はその誘いを黙殺し続けました。レバレッジの存在に自分の価値観と相容れないものを感じたからです。
しかし究極的には自分が間違っていたと認め、食わず嫌いを改める決心をつけました。
自分の考え方が『タワー・レコード』の発想になっていると気付いたからです。世の中には「変化を受け入れろ!」と掛け声をかける人は沢山居ますが、本当に行動に移す人は少ないです。
CFDには良い点も沢山あることはその仕組みを見れば一目瞭然でした。
CFDのイノベーションは単にレバレッジがかかっているという点だけではありません。
上の4番目の図にあるように執行(エクセキューション)・エンジンが迅速な執行を可能にしているという面があるし、ブランケット・アグリーメント(顧客と証券会社が交わす一括契約)がチケット毎に煩雑な文書コストが発生するのを防いでいるという面もあります。
CFDがいまのようなカタチになる前はこのような取引はエクイティー・スワップと呼ばれ、証券会社と機関投資家が個々に契約を結んでいました。
僕も1990年ころにエクイティー・スワップの営業に関わりましたが、弁護士に契約書を作成してもらうコストなどがかかるので、最低のロットが100億円くらいだったと記憶しています。
しかもプライシングに関してはレター(書面)のやりとりで1か月近く交渉に時間を要しました。スプレッドもメチャクチャ大きく、数パーセントあったと記憶します。
契約書を作成し、プライシングの交渉をした後でディールが不成立になることもあり、発生した弁護士費用を巡って大目玉を喰らったこともありました。
そういう事を実地で経験した身としては、今、CFDで起きていることは夢のような素晴らしいイノベーションなのです。もちろん、インターネットというインフラストラクチャーがプライシング面での透明性を劇的に向上したという外的な要因もこのイノベーションに寄与しています。
レバレッジの存在はCFDイノベーションの中で実はいちばんどうでもいい部分であり、極端な話をすれば1倍(=つまりレバなし)でも構わないとすら思います。
(いつも言うようにレバが大きくなればなるほど、援用可能なトレーディング・ストラテジーの選択肢は狭まります。)
なおCFD金利はオーバーナイト・ポジションにだけかかりますから、デイトレする分にはかかりません。それからレバについては(信用取引をやった経験のある方はわかると思いますが)自分で建て玉の総量を調整することで落とすことが出来ます。 このやり方についてはCFDセミナーで口を酸っぱくして説明している通りです。
僕が20年前にアメリカ株の営業をはじめたとき、「ナスダックは店頭取引だから信用ならない。だから年金が買うべき市場ではない」という価値観を持っていた顧客が居ました。それも一社ではありません。
「常識」ほど移ろいやすいものはないと今更ながら思います。

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