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2009年6月20日土曜日

金融常識テストの正解


「投票コーナー」の金融常識テストに回答いただきましてありがとうございます。

今回の質問は:

「市場全体のPERが高くなってしまったときはPERが安いときより損をしやすい」
→この記述について下の中から正しいと思うものをひとつだけ選んでください。

1.正しい
2.間違っている
3.どちらともいえない

というものでした。

   ■   ■   ■

【正解】
3. (2.でも正解だと思います)

   ■   ■   ■

【解説】
「PERが高い方が危ないに決まっているじゃないか!」というのは多くの初心者が信じ込んでいるセオリーですが、実際にPERに株価を予見するちからがあるかどうか?ということについてはいろいろな学者や実務家が既に実証研究しており、それらの結果によるとPERと株価には殆どランダムな関係しか無いという結果が出ています。

それらの研究の中で有名なものはイェール大学のロバート・シラー教授の「Valuation Ratios and the Long-Run Stock Market Outlook(Journal of Portfolio Management 1998Winter」で、彼は1872年から2005年までのPERとその後の株式市場のパフォーマンスを検証しました。それによると相関係数(R-squared)は0.40と、ほとんど「役立たず」であることがわかっています。

なおシラーの研究はPERの中からノイズ(雑音)を除いた、スムージングされたPERを使っており、雑音(=つまりライトオフなどがドカンと出た年の数字)を除かずにそのままのPERで計算すると相関係数は0.03(=ほぼ完璧にランダム)にまで落ちてしまうのだそうです。

でも「PERが高くなってしまったとき、、、」という表現の、「高くなったとき」と言う部分は曖昧さを含む表現であり、主観が入りやすいという批判があります。そこでPERの水準ごとに細かくその後のリターンを検証した調査もあるのですが、それでもやっぱりランダムな結果が出ています。

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