最近、なぜか中国株の小型株について書く機会が多いです。
これは別に意識しているわけじゃありません。「あ、これ面白いな」と思うストーリーがたまたま中国株の、とりわけ小型株に多いというだけの理由なのです。
それらの銘柄の多くはクレディスイスとかモルガン・スタンレーのような大手投資銀行が引き受けたディールではなくて、OTC(店頭)取引から長い助走期間を経て内部留保をコツコツ積み上げてからNYSEに昇格させて貰った、「苦労人タイプ」のストーリーが多いです。
さて、のっけから余談はこのへんで置いておいて、 ハービン・エレクトリックは中国のモーター・メーカーです。
日本の企業で言えばマブチ・モーターなどのイメージに近いですが、共通するところもあれば、違うところもあります。
共通する点は先ず技術にこだわるタイプの会社だということ。
それから自動車のミラーなどを動かすモーターなどを作っている点も共通してます。
マブチ・モーターの場合は大体、売上高の4割近くが自動車向けだと思いますが(間違っていたら、ごめんなさい)ハービン・エレクトリックの場合は上の2番目の円グラフにあるように28%程度です。
さて、ここからがマブチ・モーターと大きく異なる部分ですが、ハービン・エレクトリックはLM(リニア・モーター)にとても力を入れています。
リニア・モーターと聞くと僕などすぐにリニア・モーターカーを想像してしまうのですが(=それ向けの納品もあります)、LMの用途はそれだけではありません。
上の写真が同社の作っているLMのサンプルです。
LMは前後に反復運動が必要な機械に幅広く使われています。たとえば肉屋さんでハムをスライスするときに使うスライサーなどはその例です。
リニア・モーターを使った製品で最も期待されるのは石油を汲み出すリグ向けのLMです。
従来石油を組み出すのにはロータリー・リグと呼ばれる、キリンの首みたいなポンプが使われるのが常でした。ハービン・エレクトリックはこれを直線型モーターで置き換え、従来のリグより効率良く、しかも摩耗やメンテが少なくて済む新製品を出したのです。ペトロチャイナの主力油田である大慶油田では、すでにLMリグの稼働が始まっています。大慶油田では確か4000くらいのロータリー・リグが稼働している筈ですから、未だ数百台の納品実績ということは将来の商機はかなりデカイと思われます。
それからハービン・エレクトリックは去年、普通のモーターの会社も買収しました。この部門はシングル・フェイズ式電気モーターを作っているのですが、廉価で、熱などの過酷な使用条件下でも強いことから、主に農家の脱穀機とか水を汲み上げるポンプなどに向いているのだそうです。また、中国の農村は電圧が一定していない地域が多く、同社の製品はそういう面でも保護機構などに工夫を凝らしています。これらの農業向け機械に対しては中国政府が折からの景気刺激策の一環として「製品を購入する際、国が30%のリベートを出す」というキャンペーンが始まっています。ですから引き合いは上々です。
足下の業績としては、ロータリー・モーターは駄目です。また中国国内の自動車メーカーからの注文も第4四半期に減りました。自動車メーカー向けの需要は今年に入ってからもイマイチです。
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