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2009年7月7日火曜日

ニューヨーク証券取引所 ここまで来れば「喜劇」だ







「う~ アタマイタイ、、、」
セミナーの資料を作っていて、ぜんぜん数字が合わないのであれこれ調べた挙句、NYSEの「ケアレスミス」だとわかりました。(もーっ!この忙しいのに、カンベンしてくれ)
ニューヨーク証券取引所のプログラム・トレーディングの資料を作っていたのですけど、6月第2週までの数字(上から3番目の円グラフ)と6月第3週の数字(上から4番目の円グラフ)がぜんぜん食い違っているんですね。まあ、ざっといって週間ベースで10億株くらい合わない。
(もとから悪いアタマにとうとう老化が来たか、、、)
半ばメランコリーな気分になっていたところ、ニューヨーク証券取引所が「あれはウチのチョンボでした。新しい週間統計を2~3日うちに掲載します。」ときた。
要するにどこで食い違いが生じていたかというと、ゴールドマン・サックスのプログラム・トレードの数字をNYSEが採録し忘れた、、、ただそれだけのことです。
しかしねぇ、、、、10億株だよ。それだけ減ってて、間違いに気がつかないの、あんたたち?
もっともこの前後はゴールドマンのHi-Fi Tradingを巡って『ゴルゴ13』ばりの捕り物帳が展開していた期間ですから、「ドル箱アルゴリズムを盗まれたゴールドマンは即座に取引を止めたのか?」とてっきり誰もが合点したということも重なっていたのです。それが混乱を助長したわけ。
その後でゴールドマンのスポークスマンの方から「えっ?ウチ、プログラム取引ぜんぜん止めてないよ」というコメントがあって、みんな「なんじゃそれ~!それじゃ一体、10億株はどこへいっちゃったの?」
そこまできてようやくNYSEの失態だということがわかったのです。
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だいたい、このHi-Fi Tradingというのは謎のベールに包まれた部分が多すぎる。
以前にも書いたけど、ゴールドマンはリーマン・ブラザーズの倒産以降、「NYSEの流動性が枯渇してはいかん」という理由で特別流動性プログラム(SLP)という特権を与えられて、「積極的にマーケット・メーキングに参加したら、NYSEが駄賃をあげる」という取り決めを結んだんです。
ところがゴールドマンは客注(カスタマー・オーダー)にはろくに流動性を提供しないくせに自己でマーケットに出たり入ったりして(50ミリセカンドという目にも止まらぬ速さでです)この駄賃だけを貰ってきた、、、
そういう取引は証券会社の通称、アップステアーズと呼ばれる株式部で突き合わされたり、サード・マーケットと呼ばれる市場外電子市場でマッチングされるわけです。そして出来高報告は「事後的」にNYSEになされる、、、
するとニューヨーク証券取引所に上場されている株の大半はどこかわけわかんないサイバー・スペースで執行されるということになるのです。(それが上から2番目の円グラフ=但し、この比率は実際には「それ以外」がもっと多いはず、、、なぜならこの統計はゴールドマンの分が遺漏しているから。)
なお、一番上の取引主体別の出来高の数字もゴールドマンの分が抜けているので水色の「大手投資銀行の自己勘定プログラム」の数字はもっとずっと大きく、緑色の「通常のトレード」は5割を切っていると思います。
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僕が言いたいのは「こんなに不透明な取引所に誰がした!」ということ。
その責任の一端はニューヨーク証券取引所にあると思うし、取引所を「私物化」しているゴールドマンもちょっと問題があると思うんですけど、、、
まあアルゴリズムが盗まれても、誰からも同情はされないでしょうね。




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