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2009年7月23日木曜日

運用の英語  swagger

【今日の運用の英語】
今日はswagger(スワガー)という単語について書きます。

厳密にはswaggerは運用とは直接関係ない単語です。ですから「運用の英語」のシリーズで取り上げるべき単語では無いかも知れません。でも敢えて取り上げることにした理由があるのです。

それは決算のカンファレンス・コールの際、経営陣の語り口にswaggerがあるかどうかというのが一番の聞きどころだからです

それではswaggerとはどういう意味か?ということですが、Oxford Dictionaryには次のような一文があります:

Swagger; have an air of superiority

これが僕には一番、しっくりくる説明です。「俺様は、きさまらとは違うんだ」というair、つまり雰囲気ですね。

大体、会社の経営者というものはすべてが上手く行っているときは威張っているものです。ところが少しでも先行きに自信がなくなると急に借りてきた猫みたいにお行儀が良くなってしまう、、、

経営者の言葉にswaggerのある株は騰がるし、ない株は下がります。

その点、最近の決算カンファレンス・コールで明らかにswaggerを感じたのはインテル(INTC)とスターバックス(SBUX)です。

インテルという会社は、ある意味、小学校低学年の子供みたいに単純で相手の心を読みやすい会社です。

つまり工場が上手く行っているときはすぐ元気になるし、上手く行っていないときは仮に世間の景気が良くてもすぐ落ち込むということです。

それでは「工場が上手く行っている」とは具体的に何を指すのでしょうか?

それは半導体生産工程の歩留り、とりわけカッティング・エッジと呼ばれる、最新鋭の生産ラインにおける歩留りが良い場合を指します。現在なら45ナノメターから32ナノメターへの移行が同社にとって最も重要な仕事です。

これがすこぶる上手く行っている、、、

最近は半導体の線幅がどんどん小さくなっており、ダイのサイズも小さくなり、ひとつのウエハー(つまりお皿)から採れるチップの数が増えています。これは何を意味するかといえば製造工程をしくじって、お皿ひとつを台無しにしたら、莫大なお金をドブに捨てることになるということです。しかもオートメーションでどんどん不良品がトコロテン式に出てきたら、たいへんな損害になるのです。

今回のインテルの決算でマージンが5ポイントも上昇したということは不良品率が少ないことを意味します。また32ナノメター移行に際して、万が一、歩留まりが悪くなった場合のためのリザーブ(引当)をとってあるのですが、それを来期にはリバースするということは、つまり不良品率がとても低かったので、引当が過大になったということです。

チップのコストは不良品率の関数ですから、不良品率が低ければコストは面白いように下がります。
コストが面白いように下がれば製品価格の値段も値引きできます。製品価格の値段を値引き出来るということは、ライバルのAMDなどに対して、有利に営業展開できるわけです。

このような好循環でどんどん業績が良くなるのです。

32ナノメターの場合、ネットブックやその他、ハンドヘルド・デバイスにもどんどん採用される可能性があります。するとこれまでPCとかサーバとかノートブック中心だったインテルの対象市場のすそ野がグッと広がることも考えられるのです。

先日のインテルの決算がなぜswaggerに満ちていたか?

その理由はこのへんにあるのです。

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