今日、ブラジル政府がペトロブラスの持ち株比率をこれまでの55.7%からゆくゆく70%まで増やすと発表しました。
この見出しだけを見るとあたかもペトロブラス株にとってプラスの材料のように見えるのですが、慌てて買いに走らない方が良いと思います。なぜならブラジル政府の費用のねん出方法が結局、ペトロブラスにとってマイナスになる公算が高いからです。
なお、断っておくと今の段階ではブラジル政府のスキームの細部がわからないので具体的なことはわかっていません。あくまでも第一印象です。
リオデジャネイロ沖の超深海油田に巨大な石油が眠っていることが発見されたのは皆さんもご存じだと思います。この材料でペトロブラス株はずいぶん騰がりました。
しかしその開発については、超深海油田ということもあり、莫大な費用がかかります。その費用をどうねん出するか?が問題になるわけです。
今回の提案ではブラジル政府が215億ドルから500億ドル程度をかけてペトロブラスの株式を取得し、「支援する」ということのようです。
しかし、ブラジル政府にとってもこれは大金です。
ブラジル政府は超深海油田の鉱区(これまでは細かく鉱区を割って、それを広く世界の石油会社にオークションしていました)をユニタイゼーション(統合)して、採掘権をペトロブラスとブラジル政府で固める方法によって費用ねん出する方法を検討しているそうです。
これは実質的にはペトロブラスの部分的再国有化となります。また時価総額対浮動玉の比率が低下(それは逆に言えば政府の持ち株比率の上昇)から、MSCIなどの株価指数におけるウエイティング(その銘柄の重要性)がダウングレードされる危険性もあると思います。
また採掘権自体がペトロブラスに帰属するのかブラジル政府が保持するのかもこのニュースからはよくわかりません。確認埋蔵量のカウントの仕方が、このユニタイゼーションで悪影響を受けないかどうか心配です。
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