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2009年9月30日水曜日

ジェイミー・ダイモンの非情な切捨て

将来を嘱望される優秀な社員が少しでも期待に添えなければ即座に切り捨てられる、過去に大きな功績があり、疑うべくも無い忠誠心を持つ社員が、将来の企業戦略にそぐわない職能しか持って居なければ一瞬のうちにお払い箱になる、、、

欧米の投資銀行のドライさは、僕も長く内側に居たので数限りなく見てきました。

そんなことに慣れっこの僕から見ても今回のJPモルガンのジェイミー・ダイモンの決断はとりわけ非情で、かつ稲妻のように速い決断でした。

(やっぱりジェイミーはぜんぜん他の経営者とは器が違うな)

改めてそう思いました。

今回、JPモルガンを去ることになったビル・ウインタースは金融危機が起こる前に「JPモルガンはデリバティブから完全に手を引くべきだ」と強く主張した男であり、いわばブラックスワン・イベントの出現を予見した、卓越したリスク感覚を持ったエグゼクティブです。

彼が48歳の誕生日を祝っている日にジェイミー・ダイモンが降格人事を電話で通告したのだそうです。
現在のJPモルガンは投資銀行部門の全てのリーグテーブルでNo.1であり、この実績に投資銀行部門の共同ヘッドであるビル・ウィンタースとスティーブ・ブラックが大いに貢献したことはウォール街の関係者なら誰でも知っています。

でもジェイミー・ダイモンはたぶんこんにちの投資銀行界を見ているのではなく、3年から5年先のインベストメント・バンキングの世界がどうなるか?を見据えているのだと思います。新しく時期投資銀行部門ヘッドに指名されたジェス・ステイリーは資産運用畑の人です。

このトップ人事で少しでも曖昧さや逡巡する瞬間がJPモルガンにあってはならないという考えから、電光石火で次の布陣が決められたのだと思いますが、この決断の早さはいかにもジェイミー・ダイモンらしいです。

モルガン・スタンレーやシティグループが演じたような、間延びした「お家騒動」は組織の求心力を弱め、他社につけ入れられる隙を生じます。

ライオンのように猛々しい投資銀行の姿を久々に見た思いがします。

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