さて、下の2つのエントリーで昔流の大口注文の捌き方の例を説明しました。
これらのやり方はいずれも人手のかかる、「人海戦術」であり、ローテクだという共通点があります。
エクセキューション・プライスの良し悪しはどのくらい機敏にトレーダーたちが動けるか?という問題に加えて、証券会社そのものが損を蒙ったかどうかによって左右される面もあります。
また最初は秘密裏に物事が運ぶのですが、途中からだんだん市場に全貌がバレ、それが悪用されたり執行の非効率を招いたりします。
だから昔流のやり方は必ずしも理想的ではなかったのです。
そこで機関投資家が匿名性や注文の存在を秘密にしたままで何とか効率的な執行が出来ないか?ということの試行錯誤が繰り返されました。
電子的に機関投資家間の大口注文を突き合わせる、オルタナティブ・トレーディング・ネットワークなどがいろいろ出てきたのはそのためです。
このような電子市場における注文のフローのことを総称して、こんにちダーク・プールという言葉が用いられているのです。
なお、ダーク・プールにおける注文の突き合わせには取引所において注文を執行する場合と同様の価格面でのガイドラインが存在します。またベストプライス(最良執行条件)への参加はリテールの投資家にも可能であるような配慮がされています。
ただ、昔流のやり方と何が違うかと言えば、ジェンのようなセールス・トレーダーの必要性がぐっと低下した点です。また、昔はセールス・トレーダーがやっていた、大口の売り物の存在の探索などの作業を今はゴールドマン・サックスのHi-Fiトレーディングに代表される、アルゴリズム・トレーディング・システムが代行していると言う事もできると思います。
なお、電子市場の発達は個人投資家にとっては不利な面より有利な面の方が多いと思います。
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