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2009年10月20日火曜日

スタンピードは既に始まっている



スタンピードというのは動物の群れが何かの拍子に一斉に駆け出す現象を指します。
最近のアメリカの投資家を見ていると、これまで僕が一度も見たことのないような凄いペースでBRICsの株を買い始めています。
このところ強い相場に乗じてブル・マーケットに水を差すような公募増資が相次ぎました。例えばサンタンデール・ブラジル(BSBR)の70億ドルの超大型増資もそうですし、インドのスターライト・インダストリーズ(SLT)の転換社債などもかなり投資家を馬鹿にした発行条件ではめ込まれています。
(こんなことしていたら、いつかばちが当たるぞ)
そう思ってハラハラしながら見ていたのですが、サンタンデール・ブラジルもどっこい利食いになってきています。兎に角、機関投資家からの買い指値が下値にびっしり入っている、、、、
(この腰の強さは、何なんだ?)
普通、先にニュースになったリオデジャネイロ五輪とか、そういうチャラチャラした材料というのは、3日もすれば飽きが来て、利食われるものなのです。ところがぜんぜん買いの手を休める様子が無い、、、。
そこに何か異質なものを感じるし、畏れを覚えるわけです。
アメリカの機関投資家が屈託なくブラジル株を拾いまくっている理由はブラジル経済に構造的な変化が訪れたからにほかなりません。
その構造的な変化とは、一言で言えば輸出ブームです。それは3年前の同国では考えられなかった凄いスケールで今、繰り広げられています。
この背景には中国があります。
中国は上の大豆のグラフ(ピンク色の部分)を見て頂きたいのですが、「もう大豆の自給自足は諦めた。輸入に切り替えよう!」という国家戦略上の大きな意思決定を済ませています。だから今後も大豆の輸入はどんどん増えます。
ここにはグラフを載せていませんが、同じような「食のグローバル化」は冷凍チキンでも起こっています。(但し輸出先は中東やロシアです。)
人類はエレクトロニクスや原油を恒久的に輸入に頼ることには慣れていますが、大豆やチキンのようなベーシックな食糧で、これだけ大きなスケールでのグローバル・ソーシングはUSDAの過去のデータをずっと遡っても前例がありません。
食糧だけではないのです。ティッシュペーパーの原料になるパルプにも大きな地殻変動が起こっています。
実は過去1年間でアメリカの株式市場のセクターで最もパフォーマンスが良かったのは林業・パルプです。このド不況の中で、新聞や雑誌がどんどん廃刊になっているのに、なぜパフォーマンスが良いのか?
それは中国が去年の3倍近いペースで猛然とパルプを買い漁り始めたからです。
さらに鉄鉱石の輸入依存度は70%にも達しています。
中国やブラジルはこうしたソーシングの変化に対応するために、港を改造し、溶鉱炉をチューニングし、バラ積み船を発注し、兎に角、サプライ・チェイン全体を大改革しているのです。
ということは上に書いた現象は今年に限った「まぐれ」ではなく、今後、何十年も続くであろう、構造的な変化であると考えた方が良さそうです。
ブラジルの過去のGDP成長率や貿易収支を今後の同国の経済パフォーマンスを考える上でのデフォルト・ポジションだと考えてはいけないのはこのような理由によります。

1 件のコメント:

gonta さんのコメント...

ここのところじわじわと値を上げているULTRは輸出増の恩恵を受けるとみていいのでしょうか。