土曜日にブラジルのリオデジャネイロが2016年のオリンピック開催地に決定しました。これを受けてブラジル株式市場はラリーしていますが、今週は少し気をつける必要があります。それは70億ドルにものぼる超大型のIPOが値決めされる予定だからです。
バンコ・サンタンデール・ブラジルはブラジルで第4位の商業銀行であり、欧州最大の銀行、サンタンデールの子会社です。
ちょうどタイミング良くオリンピック開催が決まったので、ブラジルに関する投資家の関心は俄かに高まっていますが、その好機を狙いすまして高値で値決めされるリスクが高まっていると言えるでしょう。
【ディールの条件】
ティッカー:BSBR
今回発行株数:5.25億ユニット
初値設定:$12.19から$13.85
普通株対ADR比率: 1:1
幹事:サンタンデール、クレディスイス、BofAメリルリンチ、UBSなど
サンタンデール・ブラジルは過去10年で同国で最も成長した銀行であり、この間に資産規模は6倍になりました。今後もオルガニックな成長を目指しています。また、貸付原資の市場への依存体質を改めるべく、ファンディング構造の改善を目下目指しています。
ブラジル経済は90年代中盤のレアル・プラン導入後、インフレが鎮静化し、その恩恵を蒙ってきました。実質金利はどんどん下がっています。これは銀行にとっては新しい商品をどんどん紹介しやすい環境であると言えます。
サンタンデールのBISレシオは16.7%、ROEは21%、ティア・ワン・キャピタル・レシオは12.6%と、内容的にはピカピカです。また、ブラジル中銀は金融機関に対する監督が極めて厳格であり、アメリカの銀行のようにデリバティブなどの有毒資産がバランスシートに乗っていません。
ブラジルというと「ハイパー・インフレで、借金を返さない国」というイメージが根強く残っていますが、それは完全に過去の事となっています。
目先のブラジル市場の懸念点は春先のビザネット、今回のサンタンデール、そして近くバンコ・ド・ブラジルのADR市場でもIPOが予定されるなど、超大型のディールが相次いでいることです。需給関係は当然、悪化すると思います。
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