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2009年11月8日日曜日

中国の資格試験代行業者、ATA(ティッカー:ATAI)が決算発表

ATA(ティッカー:ATAI)は中国のコンピュータ・ベースのテスト・サービス業者です。同社は日本で言うところの証券外務員試験などの資格試験の実施を代行しています。

中国は世界で初めて試験を「発明」した国だと言われています。また中国は競争社会であり、なんでもかんでも「テスト、テスト」です。去年の国家の資格試験の受験者総数は6000万人でした。

現在、中国に於ける資格試験の大半は紙と鉛筆の昔ながらのテスト方法が使われていますが、今後、ATAのようなコンピュータ・ベースの試験が増えると思われます。ATAは中国全土で1900か所のテスト・センターをフランチャイズ方式で展開しています。テスト・センターの稼働率は僅か7%ですので今後どんどん新しいテストを追加することが出来ます。具体的には証券、保険、不動産などが当面の成長分野です。ATAのように資格試験サービスで一度代行業者に指名されると失敗が無い限り指定替えになることはまずありません。その意味では独占的色彩が強いビジネスです。

ATAは1999年創業で、これまでは主に政府の資格試験の代行の仕事をしてきました。しかし最近は企業の採用に際する能力テストを代行するサービスも開始しています。「HRセレクト」と題されたこのサービスは未だ始まったばかりです。さらに「TOEIC」などの外国から輸入されたテストも実施されはじめました。

そのATAが今日決算発表しています。決算の中身は悪かったです。しかしこれにはちゃんとした理由があります。

売上高 610万ドル(予613万ドル)
EPS ▼11¢(予▼2¢)

試験実施サービスからの売上高は去年の同期に比べて+88.8%でした。問題はこのところ中国もインフルエンザが流行しており、H1N1による証券外務員試験、保険外交員試験の中止で2.3万人の受験予定者からキャンセルが出たのです。この悪材料はすでにある程度市場には知られており、その意味では今期の決算は「捨て石(throw away quarter)決算」だったのです。

僕の考えではインフルエンザは今後も猛威をふるうでしょうが、永遠に続く材料ではありません。その一方で科挙試験の伝統が脈々と続いている中国の「試験好き」の体質は将来も変わらないと思うのです。だから今回の決算でATAが大売られしたら、絶好の買い場になると考えています。

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