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2009年11月3日火曜日

「心配すべきは日本であり、アメリカではない」

ツイッターで話題になっているようなので、簡単に抄訳しておきました。Enjoy!


「心配すべきは日本であり、アメリカではない」
アンブローズ・エヴァンス・プリッチャード 英テレグラフ紙

日本は劇的な金融危機への道を歩み始めている。過去20年間に渡って日本は低コストで国民から借金することをやってきたが、それはケインズ的な赤字支出の麻薬にハマっただけで、公的部門の負債はもはや取り返しのつかない地点を超えてしまっている。

日本政府が倒産することに対するデフォルト保険の価格が最近ロケットのように上昇していることから察すると、日本流の国庫のやりくりの方法はどうやら壁にぶち当たったと考えられる。9月からこのかた、日本のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の価格は35から63ベーシス・ポイントへと急騰した。ドイツの21、フランスの22、米国の22、英国の47と比べても日本の動きはおかしい。

先の選挙での日本の「レジーム・チェンジ」で日本では素人っぽい民主党が政権を握った。民主党は5500億ドルの福祉ばらまき予算で「新社会政策」を展開すると宣言している。これが日本の状況に気づいていなかったガイジン投資家がにわかに日本に注目するきっかけを作った。「市場は日本がレンガ塀に突っ込むことを恐れ始めている。数字を見ると巨大だ。」ソシエテ・ジェネラルのアルバード・エドワーズは語った。

元IMFの主席エコノミストだったサイモン・ジョンソンは先週、アメリカの議会の公聴会で「日本の歩んでいる借金漬けの道は既にきりもみ状態であり、日本が大きなデフォルトを引き起こすリスクは現実的である」と証言した。

IMFは日本の公的負債が今年GDPの218%に達するとみている。来年は227%、2014年には246%だ。

これまでのところ日本の借金は何とかやりくりが出来た。それは日本の国民がゼロ同然の利子でも国債を買うことに同意してきた(あるいは無理やりそうさせられてきた)からである。10年物日本国債の利回りは1.3%くらいで推移してきたが、先週、突然、利回りが1.42%へジャンプ(価格は下落)した。

IMFは「このような小康状態が今後政府がどんどん支出を増やしていった場合、継続可能なのか?この先は日本の市場がどんどん出てくる国債を消化する能力はどんどん減退する。なぜなら日本は急速に老齢化しており、国民は貯蓄を取り崩して生活することを強いられるからだ」としている。

その貯蓄率は1990年の15%から今日は2%へと激減した。この2%という数字はアメリカの半分だ。1.5兆ドルある日本の年金基金は差し引きしてみると今年国債の売り手に回った。その理由は年金の支払いに応じなければいけなかったからである。人口動態的なプレッシャーはすでに年金を国債の買い手の立場から売り手の立場に追い込み、しかも日本の労働人口は2005年から減少に転じている。

日本の郵貯はこんちに既に1.7兆ドルの国債を抱えているが、これ以上、国債を引き受けることに難色を示している。このように日本国債市場の主な買い手は崩れつつあるのである。東京のタクシーに乗ると映画「ラストサムライ」に出演した女優が国債の広告に出ているが、財務省が必死になるのも無理は無い。若し日本の国債の利回りが世界並みである3から4%に上昇するだけで金利コストは日本の財政を破綻させる。

その瞬間がいつ訪れるかは誰にもわからないが、そう遠くない将来であることは間違いない。

ハイ・フリックエンシー・エコノミクス社のカール・ワインバーグは「日本政府の借金の状況は挽回不可能だ。秩序だった方法で危機を回避できる見通しは無い。彼らは借金の借り換えに失敗し、政府は財政をシャットダウンする必要がある。年金は削られ、銀行の破たんは世界を揺るがせるだろう。格付け機関がこれに対して警鐘を鳴らしていないのはほとんど犯罪的だ。」

(中略)

日本の物価指数は10月に2.4%下がった。逆に実質金利は今年300bp上昇した。これは1933年の大恐慌を分析したアーヴィング・フィッシャーの論文、「大恐慌の原因としての負債デフレ」に書かれていることと酷似している。

こうした状況にもかかわらず日銀は奇妙なほどこの問題に無関心だ。12月にはよわよわしい量的緩和政策をもうやめてしまうと宣言し、財務省の怒りを買っている。

(中略)

日本は急激な円高を放置している。これはデフレの刀が食い込むもうひとつの原因を作っている。

3 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

ここに述べられていることは、かれこれ10年以上前から(日本の)世間に流布しています。そして、一般的なエコノミストの見立ては財政破綻シナリオのようです。しかしながら、日本政府の借金は円建てであることから、一部のエコノミストはお札を(日銀を恫喝して)刷って(日銀を恫喝して)世間にばら撒けば済む話というハイパーインフレーシナリオを予測している人もいます。そのため、日本人個人投資家や生保機関投資家はどうしても外物に目がうつってしまい、そのうち為替で大損ということを繰り返してきました。

広瀬隆雄 さんのコメント...

QQQさん

コメントありがとうございます!
先ずこの記事は僕の意見ではありません。
ツイッターで元記事が回し読みされていたので、チョッと翻訳しただけです。

一般的なエコノミストの予想が破綻シナリオだということは正直言って知りませんでした。

為替で損したというのは確かにそうですね。でも考えてみればPPP(購買力平価)から見た円と実際の為替レートを比べると、実際の為替レートの方が遥かに円高だということは日本のファンダメンタルズが良かったり、日銀の采配が上手いからではなく、無策で過ごしてきたことの証拠なのです。

壊れるときは壊れるし、そのとき国民全体が貧困化するペースは驚くほど速いです。

ロシアやアルゼンチンの例を見ると、ミドルクラス(=いわゆる、中流)が根こそぎ居なくなるほど瞬間的なインパクトは強かったです。

その際、これらの国が曲がりなりにも出直れた理由は為替レートを切り下げたからです。

RBP さんのコメント...

ブルームバーグの記事の日本語訳が産経新聞に載っていたので拙ブログで取り上げました。リンク張らせてください。

http://d.hatena.ne.jp/ROBERT-B-PARKER/20091103/1257233182

こちらは若干楽観的かなと思いますが、来年が正念場と言う感じですね。