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2009年11月22日日曜日

三菱UFJの増資は政府黙認のインサイダー取引だ

昔、スポット公募や大口のブロックトレードの仕事をしていた関係で、公募の前後のニュース・フローを見ていれば、当事者(発行体である三菱UFJや幹事証券など)の「心象風景」は透け透けに見えてしまいます。

今回の三菱UFJの1兆円の公募増資は、正式に発行条件が決まる前から、「たぶん来るぞ」ということがメディアなどで大々的に報道されていました。

これはいやしくも引き受けにたずさわる者として、(こいつら、ずるいな)という怒りを禁じえないし、(なんだ、おめえら、クリーンにはめ込みする自信無いの?だらしない連中だな)という軽蔑の念も覚えます。

つまり、こういう事なんです。

普通であれば公募増資というのはイシュアー(=発行体→三菱UFJ)と既存株主(=みなさんのこと)の利害のバランスを取ることが必要になります。それは場でついている値段をなるべく壊さないようにデリケートに扱う、さらに株価へのダメージを最小限に喰いとどめるためにサッサと値決めする、ということを意味し、これは引受の基本中の基本です。だから事前のリークというのはゼッタイあってはならないのです。

ところが、、、

今回のディールは「そろそろ来るぞ」ということが正式発表前に世界の津々浦々まで知れ渡っていて、おそらくこのディールを知らなかったのはエスキモーくらいでしょう。

なぜ公然とリークが行われているのか?

それはショート筋にせっせと三菱UFJをショートさせる時間的余裕を与えるために他なりません。彼らはこの日本政府黙認のインサイダー取引をやる機会を与えられて、どんどん三菱UFJの株を空売りします。そして公募でケツ入れ(買い戻しのこと)をかけてやればノー・リスクで儲かるわけです。

幹事証券が営業努力で大量の株式を売り切る自信が無いときは、この手のリークでヘッジファンドなどのハイエナ軍団をわざと呼び込み、ディールを売り易くするのです。

また株価自体が下がると普通にロング取引でも割安感が出てきます。だから株価の「ぶち壊し合戦」がはじまるわけです。

いつも言う事ですが、公募増資とは既存株主から公募の応募者への利益の転移に他なりません。既存株主をファ○クすることで、その「負のモメンタム」を利用して値決めに持ち込むのです。

アメリカの金融機関、たとえばゴールドマンやバンカメが公募増資する際には、24時間以内に値決めするのが当たり前です。それを「ヘビの生殺し」みたいにのたうちまわり、醜態を晒している現状に日本の個人投資家はもっと怒って良いと思うのですが、、、

1 件のコメント:

nori_m さんのコメント...

既存の個人投資家が怒る手段としては、株主代表訴訟でしょうか?

ブルドックソースの判決などを見ると、日本の司法に信用がない事も今回の増資の背景にあると思います。