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2009年11月16日月曜日

アフガニスタン政策が焦点

オバマ大統領がアジアを歴訪中です。
しかしアメリカ国民の関心は中国でも韓国でもありません。
アフガニスタンに米軍を追加派遣するかどうか?
その決定を今か今かと待っているのです。

アフガニスタンへの増派は折角、イラクからの速やかな撤退で浮いた軍事費をアフガニスタンで「浪費」することになるため米国内では極めて不人気な決断となります。
しかしアフガニスタンのタリバン勢力の掃討をしっかりやっておかなければ再び9・11のようなテロにアメリカや英国が晒されるという懸念があります。
この点、実際に無差別テロの標的になったアメリカや英国は他の多国籍軍派遣国より危機意識は高いです。
現在いちばん手を焼いているのはアフガニスタン南部のヘルマンド地方でのタリバン掃討です。ヘルマンド地方は1960年頃にアメリカの肝いりで大規模な治水事業が試みられた場所であり、「リトル・アメリカ」と呼ばれた時代もあります。水に乏しいこの地方で折角完成されたダムや灌漑施設は、しかし現地の人々の定住や農業振興には役立ちませんでした。
その後、ソ連がアフガニスタンに侵攻し、戦火のアフガニスタンでの農業振興は失敗します。でもこの試みの失敗を全てソ連のせいにすることは出来ないと思います。なぜならヘルマンド地方は昔から遊牧民の伝統があり、「定住は弱い人間のやることだ」という農耕を蔑む気風が現地に根強く存在したからです。このプロジェクトはその気風をはじめから無視していたのです。
いまではヘルマンド地方はケシの花の一大産地となっており、世界のアヘンの4割を供給しています。これがテロリストの活動資金になっていることは言うまでもありません。
ヘルマンド地方のタリバン掃討作戦は英国軍とアメリカ軍が中心となって交代で任務に当たっていますが、現在、メインになっている英国軍も手を焼いています。

さて、シンガポールでのサミットを前にロシアは経済振興のため、外資の導入を歓迎すると発表しました。注目されるのは今までロシアがイランに提供してきたガソリン(イランは産油国ですが製油所が不足しているのでガソリンは輸入に頼るといういびつな経済構造になっているのです)の供給をイランの核施設建設に対する制裁の一環として断つかどうかです。

ロシアも昔、アフガニスタンに手を焼いた歴史があり、「同病相哀れむ」という珍妙な連帯感が生まれていると言われています。

若しロシアがこの面でアメリカや英国に協力するというのであればロシアでの経済開発のディールは加速することが考えられます。

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