今日ニューヨークの午後3時頃、ブラジルのマンテガ財務相が「NYで取引されているブラジル株ADRにも1.5%の取引税を課す」と発言しました。
これについては市場参加者の間でチョッと混乱が生じています。
「あれ、2%じゃないの?」
という声が先ず聞かれました。(10月の発表ではブラジル本国では2%の取引税となっています)
それと今回の措置が:
現地(ブラジル)での2% + ADRにはさらに1.5%上乗せ(!)
ではないか?という解釈もあります。
しかしADRに1.5%の課税をするというのはアメリカへの「内政干渉」であり、「そんなこと、出来んの?」とアメリカの投資家はきつねにつままれたような顔をしています。
マンテガ財務相が既に発表されている2%の現地取引税を3.5%程度に引き上げるのではないか?ということはある程度予期されていたので、サプライズではありません。
でも「ADRもやるぞ!」というのは想定外でした。
もちろん、これが本当に実施可能、いや、合法なのかは未だ判然としていません。
続報が入り次第、追加のコメントをします。
PS:新しい情報が無い中での僕の憶測ですが、たぶん今回のコメントは「ブラフ」、つまり口先の脅しに過ぎない気がします。ADRの実務としてブラジル当局が出来ることは普通株をADRへコンヴァージョンするリクエストがスポンサーである信託銀行に出された際に、ブラジルにおいてそれにしっかりと課税することくらいです。
でも投資家や証券会社は「それならコンヴァージョン請求を出さなければ良い」と判断し、ADRがプレミアムになってもアービトラージをやらなければ、それで事は済んでしまうわけ。
その場合、出来高はどんどんBM&FボべスパからNYSEへ引っ越ししてしまい、サンパウロは閑散になるでしょう。
つまり今回の発言は自分でその限界を知りながら苦し紛れに見え透いたウソをついた、、、まあ、そんな感じだと思います。
相場的には明日、たしかに荒れるかも知れないけど、、、僕のドタ感ではひどいことにはならない気がします。逆に悪材料出尽くし、ないしはブラジル中銀&MOFの「無力」が証明され、強気筋が増長するリスクもゼロとは言えません。
いずれにせよ先入観を持たず、どちらへでも動けるよう、臨戦態勢で待つ以外無いですね。
3 件のコメント:
もちろんADR取引自体に課税すると内政干渉になるので、ADRの新規の発行(イシュアランス)と消滅(キャンセレーション)に対して1.5%課税するようです。これらはカストディで把握できます。つまり税を公平化し、ループホールをなくし、ADRの出入りを抑えるという先日のIOF導入の補完的措置なので、動揺する必要はないでしょう。
これ少しは参考になるでしょうか。
「ADRの国内転換取引に課税」=ブラジル財務相 【2009年11月19日】
ブラジルのマンテガ財務相は18日、緊急記者会見を行い、ブラジル企業の米国預託証書(ADR)取引などに新たに課税を実施すると発表した。具体的には、ブラジル企業のADRを外国人投資家が国内で発行された株式の証書に変換するための取引などに1.5%税金を課す。レアルの上昇の抑制が目的で、19日から実施される。
日時: 2009年11月19日 09:41
http://www.nttsmarttrade.co.jp/market/2009/11/adr.html
t-waveさん、Takumiさん
コメントありがとうございます!
両方とも大変役に立つ情報です。
要するにマンテガ財務相はADRとローカル・シェア(現地普通株)との間のアービトラージを通じてブラジル・レアルに上昇プレッシャーがかかってしまうのを防ぎたいという魂胆ですね。
今回の措置はADR・ローカル間のアビトラを実質的に凍結する効果があるので、今後、ADRのプレミアム・ディスカウントはどんどん拡大するケースもあるでしょうね。
それ自体はインド株や台湾株ADRでも過去に沢山起きた事例はあります。
要するにインパクトは軽微ですね。
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