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2009年11月10日火曜日

ウォーレン・バフェット帝国の変遷にアメリカ経済の変貌を見る



僕がアメリカ株をやりはじめた1980年代後半、ウォーレン・バフェットは既に「神話」でした。
当時、僕はバフェットという人は素晴らしいブランドを買う男だと思っていました。なぜなら自動車保険のガイコー、コカコーラ、デイリークイン、シーズ・キャンディーなどが彼のポートフォリオに入っていたからです。
でも1990年代に入るとバフェットは金融への傾斜を強めます。もともと保険というのはバフェットの得意の分野なのですが、いくつかの保険会社の買収、ソロモンの救済などを経て、バフェットの投資会社、バークシャー・ハサウェイは金融サービスのパワーハウスにのし上がったのです。
もちろん、バフェットは今でも金融セクターには深く関与しています。しかし、もう利喰ってしまいましたけど、有名なペトロチャイナへの投資やイスラエルのイスカールへの投資など、バフェットの視野はより国際的になり、なおかつブランド力を買うというのではなく、基幹産業や工業を買うという感じにシフトしてきました。
さらに先日発表されたバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道の買収はブランド力とか金融サービスとはぜんぜんかけ離れた業種です。
そのあたりをじっくり観察すると、巨視的なレベルでバフェットが何を考えているのかが良くわかります。
つまり今回のディールはバフェットのポートフォリオを債券ないしレバレッジへの傾斜(=保険事業、投資銀行業務)から株式(エクイティー)への傾斜に引き戻す一方、ブランドなどのインタンジブル(のれん)な価値への傾斜からボリューム(石炭や穀物などを右から左へと動かす)への傾斜へと軌道修正しているのです。
上の2枚目以降のスライドはバーリントン・ノーザン・サンタフェのIRスライドですが、2枚目のスライドを見て先ず目に飛び込んでくるのは全体に占める比率として石炭や穀物が高い点です。それからルートを見るとシカゴなど中西部から西海岸(LA、シアトル)へ太いパイプがあることがわかります。
また、意外に多いのは輸入品をLAから陸揚げし、それをアメリカの内陸に輸送するビジネスです。
これらの事から言えることは:
1.クウォリティーないしはブランドからボリュームの時代へ
2.中国との貿易は一層増える
3.金融ではなく、モノの時代へ
というトレンドをバフェットは見ているということです。

3 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

こんばんは。このバフェットの巨大買収劇にはバフェットファンとして久々に血が沸き立つような興奮を覚えました。

なるほど、日本では未だにバフェットといえば「コカ・コーラ」などブランド力のある企業を買うというイメージが強いですが、ここ10年ほどを見ても確実にバフェット氏の投資対象は変化してきていますね。

過去のバフェット氏の発言には「マクロ経済の動向は気にしない」という意味のものがあったと思いますが、記事に書かれているようにバフェット氏も時代の変化を機敏に捉えて物色対象を変化させてきている様子が窺えますね。

興味深い分析記事、どうもありがとうございました。

Kasei-Jin さんのコメント...

先日は、BNIにTOBついての丁寧な説明有難うございました。
1年前は、ゴールドマンの優先株で、今度は株式です。自信ありげですね。

匿名 さんのコメント...

[今回のディールはバフェットのポートフォリオを債券ないしレバレッジへの傾斜(=保険事業、投資銀行業務)から株式(エクイティー)へ,,,,、

ブランドなどのインタンジブル(のれん)な価値への傾斜からボリューム(石炭や穀物などを右から左へと動かす),,,,,,,]

この2つのことを頭の中で反芻しようと思います。勉強になりました。