2009年11月9日月曜日
素性不明(No-Doc)のゴールドに何故欧州の投資家は殺到するのか?
ニューヨーク・タイムズによると最近、ゴールドの現物に対する個人投資家の需要がとても高まっているそうです。(上の写真の出典はNYタイムズ)
イギリスの有名百貨店、『ハロッズ』は先月から1グラム~12.5キログラムまでのゴールドを売り始めました。「欧州ではゴールドの購入者はゴールドをスイスの銀行に預けるのではなく、自分の家に隠すことが流行っている。もちろん購入の際などに一切のドキュメント無しにだ。」
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僕の考えでは欧州やアメリカの裕福層がゴールドに再注目しているひとつの理由はUBSが米国の富裕層の脱税を助けたという疑惑をかけられ、米国の富裕層のリストを当局に渡したことが影響していると思います。
別の言い方をすればUBSはゼッタイやってはいけないことをやってしまったのです。
人々がスイスの銀行口座を使い、べらぼうなフィーを払う理由はただひとつです。それは税金対策です。これまではスイスの銀行口座というのは顧客の方が出向く場所であり、間違っても銀行の方から顧客にアプローチする場所ではなかったのです。
それがUBSが2000年にアメリカのペイン・ウエバーを買収し、アメリカの裕福層のマーケットを開拓しはじめてからこの鉄則がやぶられはじめました。
ペイン・ウエバーの営業隊を使ってアメリカの富裕層へのサービスを開始するとなると、アメリカの証券法に基づいて業務を行う必要が出ます。するとディスクロージャーや送金の際のドキュメンテーションなどでいろいろな条件を課せられるのです。9・11の後にマネー・ロンダリングやテロリスト防止の見地から電信振替の業務に対する記録保持の義務が強化されたことも重要です。
今回、UBSが脱税を助けた疑いで起訴され、アメリカでの脱税者のリストを当局に渡したことで、超富裕層はスイスの銀行口座がもはや昔のような匿名性、秘密保持機能を持ちえないことが明らかになったのです。
スイスのプライベート・バンクの多くはM&Aで統合され、そのうち少なからぬものはアメリカなどへ事業を広げています。そのような多国籍な業務を行うところほど匿名性や秘密の保持の面では「脆弱である」と思われているのです。先日発表されたUBSの決算でも米国の富裕層が次々に口座を閉めた関係で米国のオペレーションがガタガタに崩れていることは明白でした。
ETFなどゴールドをめぐる新商品の世界もエキサイティングですが、昔ながらのフィジカルの世界もエロ妖しい展開になっているのです。
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