いまのアメリカには2つの経済があります。
ひとつは実態経済。もうひとつは金融市場という名前のTOON TOWN(=漫画市場)です。
例えばCDS市場というのは僕がJPモルガンに勤めていた最後の頃に読んだレポートでは確か5000億ドルくらいの規模でした。2002年の事です。
そのとき既に、「こんなに巨大で、大丈夫かしら?」という懸念の声があったんですね。それが今ではその100倍、50兆ドルくらいに肥大化している、、、
しかもこの市場は誰からも監督されておらず、店頭相対取引で、市場集中原則は無いし、全体としての建て玉や各社別の建て玉もわかりません。
「よくまあ、こんなアホなシステムを平気で使っていられるなぁ」
僕は債券部とかデリバティブ部の方々の勇気と知性に開いた口が塞がりませんでした。
「このマーケットがおかしくなっちゃえば、、、AIGなんて50回くらい自己資本をふっ飛ばしても、未だ足らないな、、、」
そういう僕に専門家の方々は「おまえは株しかやったことない馬鹿だから、、、ソフィスティケートされたモデルがわからないんだろう。」と憐れみをかけてくれたものです。
さて、クレジット・デフォルト・スワップ市場はサブプライム市場がでんぐり返った後の今でもどっこい生きています。相変わらずみんな金融取引をする際の「安全の尺度」として何の疑いも持たず、その「時価」を鵜呑みにしている、、、
実際にはこの商品の内包するレバレッジ効果と無法地帯的な取引慣習が不正と価格操縦の温床になっているにもかかわらず、、、、
この「情報の非対称性」が普通株のショート・セラーにアンフェアな競争優位を与えてきたのです。
2 件のコメント:
オプションの売りはwriteという動詞が使われることが有るように、基本は保険の引き受けです。そこでアニマルスピリッツを発揮してしまえば、いつかは「付けている最後のボタンまで」差し出すことになるのは必然でしょうね。そう考えると本職の分野で失態を犯したモノラインやAIGが救済されて、投資銀行がつぶされたのは納得いかない思いで見ている人もいるでしょうね。デリバティブ市場も本来のヘッジ目的のシンプルな商品だけが残れば十分だと考えていますが、一旦おいしい思いをしているだけに未練を断ち切れるか微妙かもしれません。
jdさん
コメントありがとうございます。
そうですね。結局、それだけ証券会社というのは「無くても良い」存在なのかも知れません。
AIGは伝統的な保険の部門は健全な経営内容だと思います。おかしくなっちゃったのは主に最近はじめた金融関連の保険業務ですね。
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