今日、モルガン・スタンレー(ティッカー:MS)とゴールドマン・サックス(GS)の株がショート・セラー(空売り筋)の攻撃対象となり、両社の株とも急落しました。とりわけモルガン・スタンレーの下げがひどく、一時は$16.08迄、下げました。大引けは▼24.22%で収まっています。
以下はモルガン・スタンレーCEO、ジョン・マックの社内メールの引用です:
「今日は皆、わが社の株価に釘付けになっていることと思う。私も同様だ。弊社は昨日、良い決算を発表した。それに1790億ドルの手元流動性がある。これはけさ他社のアナリストのリサーチ・コメントでも皆、指摘しているところだ。だから弊社株の今日の暴落ならびにデフォルト・スプレッドの拡大は論理的な根拠に欠けている。
一体、なにがおこっているのか?。
私にはその答えは明快だ。
それはアメリカの市場は今、投資家の恐怖と噂に支配されてしまっていて、それを利用した空売り筋がわが社の株を売り崩しにかかっているということだ。
幹部会と私自身はこの無責任な売り崩しに対して出来ることは全てやっていることをわかって欲しい。我々はSECのクリストファー・コックスと協議中である。また弊社の安定株主達とも連絡を密に取っている。弊社の取引相手や顧客ともコミュニケーションしている。従って、皆もそのことを顧客に伝えて欲しい。そしてわが社の決算は良好で、資本は十分であることを伝えて欲しい。
みんな質問したいことがあるだろうから、明日朝、8時30分に諸君とミーティングを持ちたい。諸君もこのミーティングにふるって参加して欲しい。
ジョン・マック」
SECのクリストファー・コックスに対しては、TVコメンテーターのジム・クレーマーは「コックスは即刻、首にすべきだ」と宣言しています。クレーマーの主張は「そもそも去年の夏にコックスがそれまで70年間も続いてきた、アップ・ティック・ルールを軽はずみに廃止したことが市場操縦をカンタンにした」というものです。
以下はモルガン・スタンレーCEO、ジョン・マックの社内メールの引用です:
「今日は皆、わが社の株価に釘付けになっていることと思う。私も同様だ。弊社は昨日、良い決算を発表した。それに1790億ドルの手元流動性がある。これはけさ他社のアナリストのリサーチ・コメントでも皆、指摘しているところだ。だから弊社株の今日の暴落ならびにデフォルト・スプレッドの拡大は論理的な根拠に欠けている。
一体、なにがおこっているのか?。
私にはその答えは明快だ。
それはアメリカの市場は今、投資家の恐怖と噂に支配されてしまっていて、それを利用した空売り筋がわが社の株を売り崩しにかかっているということだ。
幹部会と私自身はこの無責任な売り崩しに対して出来ることは全てやっていることをわかって欲しい。我々はSECのクリストファー・コックスと協議中である。また弊社の安定株主達とも連絡を密に取っている。弊社の取引相手や顧客ともコミュニケーションしている。従って、皆もそのことを顧客に伝えて欲しい。そしてわが社の決算は良好で、資本は十分であることを伝えて欲しい。
みんな質問したいことがあるだろうから、明日朝、8時30分に諸君とミーティングを持ちたい。諸君もこのミーティングにふるって参加して欲しい。
ジョン・マック」
SECのクリストファー・コックスに対しては、TVコメンテーターのジム・クレーマーは「コックスは即刻、首にすべきだ」と宣言しています。クレーマーの主張は「そもそも去年の夏にコックスがそれまで70年間も続いてきた、アップ・ティック・ルールを軽はずみに廃止したことが市場操縦をカンタンにした」というものです。
SECは今日、借株をせずにショートを振ることに対する規制の強化を発表していますが、これは以前の措置の焼き直し(適用対象は全ての株式に拡大されています)に過ぎず、相変わらずダウン・ティックでのショートによる売り崩しは可能です。
【追記】
前回、SECが特定銀行株にのみ空売り規制を強化したときは銀行株は急騰しました。
ところが今回のSECの空売り規制の発表には市場はぜんぜん反応しませんでした。
これはどうしてでしょうか?。
僕の考えでは前回の特定銀行株に対する空売り規制というのは銘柄数が限られていたのでSECがちゃんと検査しようと思えば不正を働いている空売り筋を摘発することは現実味を帯びて感じられました。
しかし、今回は「空売り規制を全銘柄に適用する」と発表してしまった、、、
これを見た瞬間、「あ、こんなの誰も守らないな」と僕は思いました。
なぜなら、そもそもSECにそれだけ徹底的に調べられる人手が無いからです。つまりこのルールはnot enforceable (=徹底できない) だと思うんです。
これを見たとき、「クリス・コックスというのはマーケットの事をわかってないな」と、やばい感じを受けました。
やっぱり一番手っ取り早くセンチメントを改善するには伝統あるアップ・ティック・ルールを復活させることが最善だと思います。
11 件のコメント:
モルスタはひどいですね。
一時CDSがアップフロントで20ptを超えていましたので、スプレッド換算するとL+1000bpぐらいです。
こうなると市場からまともに資金調達できなくなり、資産側で持っているポジションを閉じないと、動けなくなると思います。今後、高いコストで調達した資金でポジション組んでもリターンが出るわけないので、モルスタは崖っぷちに立たされた形になりました。GSもL+500bpを超えており、このビジネスモデルが機能しなくなりつつあります。
この2社はプライムブローカーとしてHFに融資などを行っているため、HFにも悪影響が伝染すると思います。するとHFのとる行動はデレバレッジ。ネットだけでなく、グロスでポジションを削ってくるのではと思います。投資家からの解約も増えるでしょうから、まだまだ潰れるHFは増えるでしょう。
こういう時は換金しやすい優良株から売られたりもするので、割安だからといって手を出すと短期的には厳しい展開が待っているような気がします。
レバレッジドローン、CDS、シンセティックCDO、ABSなど、価格が急落していることを考えると欧米の銀行も9末に更なる評価損を計上する必要があります。その発表が10月中旬からとすると、コツンと来てもまたセンチメントは悪化するように思われますが、如何でしょうか。
yariさん
コメントありがとうございます。
レバレッジを利用した投資銀行の経営モデルはyariさんの仰る通り、永遠に変わってしまったと思います。
プライム・ブローカレージの口座をどうするか?という問題は今日、ザラ場でもヘッジファンドのコミュニティーはその話で持ちきりでした。
馬鹿デカいマージン・コールの嵐です。
今日、ゴールドマンがザラ場100ドルを割ったのはゴールドマンほどの市場の信頼を得ている投資銀行でも、コンフィデンスだけではもうビジネスは成り立たなくなっているという兆候だと受け止めました。
所謂、Show me the money!という奴です。
さて、ウォール・ストリートの話はさておき、メイン・ストリート、即ち、庶民はどうしているか?という問題ですけど、これは僕の友人の不動産サンとかもメチャ忙しくなっています。
「今度お茶しない?」
と誘っても、「いま忙しいから、駄目!」という風に断わられるんです。つい先月くらいまで、相手の方が誘ってきたくせに!。
で、僕はそれは物件が動き始めているからだと思うわけです。
考えてみれば別にデリバティブなんか無くても住宅への融資は出来るし、家は建ちます。
つまり昔、即ち2000年以前の状態に戻るだけだと思うんです。
なぜバンカメがリーマンを買わずにメリルを買ったのか、、、
その答えは案外そういうところにあるように思います。
勘違いしてました。
廃止された経緯を勉強しました。
アップティックルールは、空売りにだけ適用されてたのですね。
基本的質問ですみません。
「やっぱり一番手っ取り早くセンチメントを改善するには伝統あるアップ・ティック・ルールを復活させることが最善だと思います。」
とありますが、アップ・ティック・ルールって何ですか?
久しぶりに(外国株ひろばは初めてですが)投稿させていただきます。この大変な時期に、精力的な情報提供をされている事に感謝します。訳の分からない八つ当たりのようなコメントも散見されますが、是非、嫌気がさしてブログをお止めになるような事がないようにお願い致します。
さて、MSとWBの合併観測もあるようですが、そもそも、WB自体がWMの次のターゲット候補とも見られていた訳で、B/SのクリーンさからいけばMSよりも問題含みだと思われます。時価総額もMSの方が上ですし。投資銀行が市場から狙われた場合、預金取扱機関(商業銀行)との経営統合ありき、という単純な発想だけが解決策ではないように思うのですが、いかがでしょうか?仮に単独で生き残れない状況なのであれば(私は必ずしもそうは思わないのですが)、それこそ、HSBC辺りに買ってもらわないといけないのではないかと思うのですが。
それと、CDSのスプレッドの話が様々なところで言われていますし、英文の記事でも散見しますが、空売り筋が、CDSを高値に買い上げて不安感を煽っている可能性って無いんでしょうか?MSの倒産可能性が10%レベルというのもどう考えても現実的ではないように思います。CDS市場の流動性については詳しくありませんが、現状のマーケット環境で、大量にCDSの買いが来た場合、マーケットメーカーはオファーの値段を高くして対応するしかないように思うのですが。
mmさん
ご質問ありがとうございます。
アップティック・ルールというのはザラ場についた株価が、その直前の株価より上(UP TICK)だったら、空売りして良いというルールです。
例えば:
48円
47円
47円
46円
45円
46円
なら、最初のアップティックは46円です。
こんな具合で、空売りするとき、常に「上の値段で待たないといけませんよ」というのがアップティック・ルールなのです。
だから
45円
44円
43円
という風に自分で相場を崩しながら空売ることはアップティック・ルールがある限りは出来ません。
wbjさん
ご質問ありがとうございます。
モルガン・スタンレーにとってワコビアが魅力的な理由はコア・デポジット、つまり小口の庶民から集めた預貯金があるという点です。
この預貯金は取り付け騒ぎでも起きない限り、比較的安定的に店内に留まって居てくれる資金です。
それがあれば経営が安定するんです。
証券会社の場合、投資する証券の側も変動しますけど、お金を引っ張ってくる調達側のコストも変動します。今のような信用不安の局面ではとりわけお金を引っ張ってくる側のコストがブレると思わぬ損が出たりするんです。
なぜモルガンが会社の格からすればチョッと下のように思えるワコビアを必要とするかはこの理由によると思うんです。
デフォルト・スワップのコストは今、みんなが注目していますよね。
確かにCDSで吊り上げておいて、普通株をショートするなどの「エンドラン」的なトレーディング・ストラテジーがとても多い気がします。
これらの市場は別個に存在するので情報の非対称性が高く(=つまり片方だけを見ている人が損をするなどのケース)、操作がしやすいと言われています。
ショート筋がこれだけ力を持つ背景にはそんなことも影響しているのかも知れません。
また、CDSを動かせば自由に普通株の方を売り崩せるということもアップティック・ルールを是非再導入しないといけない理由だと僕は思います。
市場の規制やルールって事前若しくは直後に効果がないとあまり意味がないと思います。
事例は違いますが日本だとインサイダー取引で摘発される例はほとんどなく、摘発されるとしても2年も3年も経ってからで実効性はゼロ。
今回SECの空売り規制も摘発できない若しくは遅れが出るならやはり同様になるんだろうな。
広瀬様
お忙しい中、早速にお返事頂きありがとうございました。
コアデポジットを活用出来るのが、預金取扱金融機関と経営統合するメリットだ、というのは、仰るとおりだと思います。
ただ、ワコビアのB/Sを見てみましたけど、直近で、コアデポジットが332bn、外貨預金等が44bn、当座預金が58bnありますが、借方には、消費者向けローン(モーゲージもこの中に入っていると思います)が270bn、企業向けローンが104bnありますので、ワコビアの預金でMSのデット(600bn以上)をカバーできる部分はごく僅かしかないと思います。
やはり、MSを遙かに上回る信用力、あるいはMSを遙かに上回る大きさのB/Sを持っているところ(現実的に存在しませんが)でないと、信用補完の効果は限定的なのではないかと思いますが・・・
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